沖縄の移民台湾を写したドキュメンタリー映画『海の彼方』

沖縄の移民台湾を写したドキュメンタリー映画『海の彼方』

台北映画祭の台北映画賞優秀ドキュメンタリー賞でノミネート、韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にてアジアコンペティション部門にノミネートされた、黄インイク監督作『海的波端』(原題)が『海の彼方』の邦題で8月12日(土)より日本でも公開されます。本作のあらすじをご紹介します。


『海の彼方』あらすじ

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

沖縄石垣島の台湾移民の歴史は、1930年代、日本統治時代の台湾からの農民の集団移民に始まる。その中に、玉木家の人々もいた。台湾から最も近い「本土」だった八重島諸島(石垣島を含む10の島々)で、88歳になる玉木玉代おばあは、100人を超す大家族に囲まれていた。

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

そして、米寿を迎えたおばあは娘や孫たちに連れられて長年の願いだった台湾への里帰りを果たす。しかし、70年の歳月がもたらした時代の変化は予想以上に大きく――。

『海の彼方』は黄インイク監督のドキュメンタリーシリーズ企画「狂山之海」の第1弾

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

『海の彼方』は、沖縄県八重山諸島に移民した台湾人「八重山台湾人」を主なテーマとした黄インイク監督の長編ドキュメンタリーシリーズ三部作企画「狂山之海」の第1弾となる作品です。

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

本作を制作するきっかけになったのは、八重山で生活する台湾人の歴史を記録した書籍「八重山の台湾人」同書を読んだ黄監督は、それが深いテーマだと感じ、2013年中頃、実際に現地に足を運び、1年近くに及ぶフィールドワークの末、2014年後半に作品を考案。調査から完成まで約3年を費やしました。

隠された歴史も描いている『海の彼方』

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

台湾移民は日本統治時代、農地開拓を目的に沖縄へ渡りますが、戦時中に台湾へ強制返還されます。戦争が終わると政治的問題により、彼らの居場所は失われ、再び沖縄へと戻ります。移民たちは、1972年沖縄返還後に日本国籍を取得するまで、無国籍者として生き続けてきました。

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

八重山の台湾移民は「台湾の人も、日本の人も知らない隠された歴史」だと語る黄監督。監督自身も大学の授業で少し聞いたことがあるだけで、具体的なイメージはなかったそうです。

複雑なアイデンティティーも描いている『海の彼方』

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

沖縄の台湾人は、戦後の中国語の教育を受けていないため、話せるのは台湾語と日本語のみです。第二世代からは二か国語を喋るというのは伝承し難く、現代の第三、第四世代のほとんどは日本語しか話せません。

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

当然ながら、日本国内での排外と差別は存在し、純粋な沖縄人でも日本人でもなく、台湾人とも言い切れない彼らの複雑なアイデンティティーは、第二世代以降の人々にとって常につきまとう問題となっているのです。

『海の彼方』は8月12日(土)より公開

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

本作は、移民史を歴史的に扱うのではなく、現在50~60歳代の第二世代と、第三、第四世代の若者や子どもたちのアイデンティティーと未来を映画の重点として扱おうとする試みです。

『海の彼方』(c) 2016 Moolin Films, Ltd.

歴史に翻弄されながらも生き抜いてきた玉木家の「家族愛」にも迫り、観る者に忘れていたものを思い出させてくれる『海の彼方』は8月12日(土)より公開です。

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