『リバーズ・エッジ』祝映画化!!
『リバーズ・エッジ』ティザー (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
80年代を代表する漫画家、天才・岡崎京子の傑作漫画『リバーズ・エッジ』が映画化されました。
岡崎京子の原作の映画と言えば2012年に沢尻エリカを主演に迎えた蜷川実花監督の『へルター・スケルター』が知られていますが、今回の監督は『世界の中心で、愛を叫ぶ』等で知られている行定勲監督が担当しています。
そこで今回は気になるキャストから原作の『リバーズ・エッジ』が何故現代において映画化されるのか、について考察をすることで、2月16日に上映される映画『リバーズ・エッジ』の魅力に迫ってみたいと思います。
『リバーズ・エッジ』キャスト 自由な高校生、若草ハルナ役に二階堂ふみ
『リバーズ・エッジ』 (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
二階堂ふみ/『リバーズ・エッジ』完成披露試写会
自由に生きる高校生、若草ハルナ役は二階堂ふみさんが演じています。
2012年に少年と少女の孤独な戦いを描いた『ヒミズ』では茶沢景子役をビビッドに演じて最年少でマルチェロマストロヤンニ賞(第68回ヴェネツィア国際映画祭)を受賞することで、一躍知名度を上げました。
その後も『地獄でなぜ悪い』や『私の男』など話題作に出演。圧倒的な存在感と演技力を周囲に見せつける等、現代において才能と実力を備えている女優の一人と目されています。
『リバーズ・エッジ』キャスト 孤独なゲイの少年、山田一郎役に吉沢亮
『リバーズ・エッジ』 (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
『リバーズ・エッジ』(C)2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
執拗な虐めにあいながらも、自らの自尊心を保つため、河原の死体の存在を拠り所とする孤独なゲイの少年、山田一郎役を吉沢亮さんが演じています。
『オオカミ少女と黒王子』や『銀魂』など、話題作に次々と出演。独自の存在感を出しています。
今回の役柄では、謎めいたミステリアスな役柄であり、さらなる魅力を開花させています。
『リバーズ・エッジ』キャスト 山田の後輩のモデルの吉沢こずえ役にSUMIRE
『リバーズ・エッジ』 (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
SUMIRE/『リバーズ・エッジ』完成披露試写会
山田の一年後輩のモデルに吉沢こずえ役にファッションモデルとしても活躍しているSUMIREさんが演じています。
実は、SUMIREさんの父親はTVドラマ「刑事ゆがみ」に出演した浅野忠信さん、母親にミュージシャンのCHARAさんという二世タレントでもあります。
吉沢こずえは、ファッションモデルをしているのですが、摂食障害を患っています。母親はステージママであり、吉沢こずえは子供の頃から芸能活動をしていて、幾度の食べては吐き、食べては吐きを繰り返しているという複雑な役柄。
さらに、吉沢こずえは実はレズビアンでもあり、孤独な内面を隠しながら生きている少女でもあるのです。
『リバーズ・エッジ』キャスト ハルナの恋人であり横暴でナイーブな観音崎役に上杉柊平
上杉柊平/『リバーズ・エッジ』完成披露試写会
『リバーズ・エッジ』 (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
若草ハルナの恋人であり、横暴かつナイーブな一面も持つ観音崎役には上杉柊平さんが演じています。
観音崎はイジメっ子な一面があり、いつもゲイの山田を虐めています。
周囲の人間も観音崎の「遊び」に付き合っているつもりで山田を虐めていましたが、だんだん観音崎の行動はエスカレート。
観音崎はただ、自分を受け入れてくれない周囲の存在に怒りを感じているだけでした。観音崎という一見強者の立場の存在が実は、弱者の要素を強く持っていることが『リバーズ・エッジ』の登場人物の特徴にもなっているのです。
『リバーズ・エッジ』キャスト 山田に異常な愛情を持つ田島カンナ役に、森川葵
『リバーズ・エッジ』 (C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
森川葵/『リバーズ・エッジ』完成披露試写会
ゲイの山田に異常な愛情を持って接する田島カンナ役を森川葵さんが演じています。
田島カンナは自分の愛情を山田が受け入れられないことを理解できずに、山田の言葉を自分の内面で作り替えるように…。
結果的に、現実を受け入れることが出来なくなっていきます。過剰な愛情は他者には向かずに、自分自身を愛する行為を続けるため、自分の周りの現実も歪めていくのです。
田島カンナ役の森川葵さんは作品ごとの全く違う一面を見せる「憑依型女優」「カメレオン女優」と呼ばれている新進女優です。
『リバーズ・エッジ』監督は『セカチュー』の行定勲
行定勲監督/『リバーズ・エッジ』完成披露試写会
今回の映画『リバーズ・エッジ』は行定勲監督がメガホンを取りました。
実は原作の岡崎京子さんは自分の作品の映画化には反対をしていたそう。
しかしどうしても映画化することを望んでいた行定勲監督が岡崎京子さんを口説き落とすことで、映画化権を取得したのです。
岡崎京子さんの漫画が映画化されたのは『へルター・スケルター』以来の2作目。
『リバーズ・エッジ』の脚本は『アズミ・ハルコは行方不明』の瀬戸山美咲
『アズミ・ハルコは行方不明』新ポスター (C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会
脚本を担当したのは『アズミ・ハルコは行方不明』の脚本を書いた瀬戸山美咲さん。
瀬戸山美咲さんは2001年にミナモザを立ち上げて現実の事象を通じて、社会と人間の関係を描いていました。
その後、2014年にパキスタンで起きた日本人大学生誘拐事件をもとに描いた『彼らの敵』で第58回岸田國士戯曲賞の最終候補に。2016年の同作の再演で第23回読売演劇大賞優秀賞を受賞しています。
また同年、ラジオドラマ『あいちゃんは幻』で第42回放送文化基金賞脚本賞受賞するなど、一躍脚光を浴びました。
それから、世田谷パブリックシアターのワークショップなどコミュニティの人々とつくる演劇にも継続的に参加。社会における演劇やアートの役割について、自覚的な作家として注目されています。
瀬戸山美咲さんが脚本を担当した『アズミ・ハルコは行方不明』は実在の安曇春子とグラフィティ・アートのモチーフになったアズミ・ハルコを描いています。現代におけるグラフィティ・アートの持つ公共性と女性が社会において、どのような生き方を強いられてきたのかを、明確にしながらガーリーな視点を失わず描いた先鋭的作品。
退屈な生活と青春がリンクせず、つねに飽き足らない子供たちといまだに子供になれない大人たちの日常生活の冒険と暴投が楽しめる青春映画です。
是非ともご覧ください…と『アズミ・ハルコは行方不明』の紹介になりました。