スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』に秘められたトリビアをご紹介!

スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』に秘められたトリビアをご紹介!

角野栄子の児童文学を原作に、宮崎駿監督が劇場用アニメーションとして制作した『魔女の宅急便』。「アニメを見ない」と言われた女性や大人の層にまで広く受け容れられ、いまでは誰もが知る作品となりました。 ここでは誰もが知る『魔女の宅急便』の知られざるトリビアをご紹介します!


魔女の宅急便トリビア1.『魔女の宅急便』はスタジオジブリ・宮崎作品初の原作もの

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

スタジオジブリは1985年に設立され、そこで宮崎駿監督は1986年に『天空の城ラピュタ』、1988年に『となりのトトロ』を制作しましたが、いずれも宮崎監督のオリジナルストーリーでした。

『魔女の宅急便』はスタジオジブリで宮崎監督がはじめて手掛けた「原作付き」の作品だったのです。ファンタジックな舞台での物語をたびたび手掛ける宮崎監督と魔女が登場する物語は、とても相性がよかったようですね。

魔女の宅急便トリビア2.キキの母コキリを頼ってきたのは「あの」豪快ばあさん!?

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

『魔女の宅急便』の物語序盤で、おばあさんがキキの母コキリに魔法の薬をもらいに来ていました。キキがこのおばあさんに挨拶をしたのですが、何と呼んでいたか覚えていますか?

なんとこの人はドーラばあさん。キキが母を訪れたおばあさんに「ドーラさん、こんにちは」と挨拶しています。『天空の城ラピュタ』に登場した空賊の頭領と同じ名なのです。

見かけは似ても似つかない感じで、もちろん同名異人です。

魔女の宅急便トリビア3.キキの親友、森の山小屋に住む画家の少女の名は……

©APOLLO

森の中の山小屋で一人、絵を描いて生活している少女。宅急便をはじめたばかりのキキが森の中に荷物を落としてしまったことが出会うきっかけとなりました。彼女はさっぱりした性格で、キキの無二の親友となります。

さて、彼女の名をみなさんはご存じでしょうか。もしご存じなら、どうやってその名を知りましたか?

実は、彼女は作中で一度も誰にも呼ばれることがなかったのです。だから映画本編を見ているだけだと彼女の名を知ることはできません。しかも、原作では「絵描きさん」と呼ばれるだけで本名は登場しないのです。

でも、映画好きのみなさんならご存じですね。エンドロールにはきちんと「ウルスラ」という名がクレジットされていますし、パンフレットにも掲載されています。

魔女の宅急便トリビア4.キキとあの人は同一人物?!

©APOLLO

少年役が多い声優の高山みなみが演じた女の子代表が『魔女の宅急便』のキキですが、実は高山は同作でもう一つ別の役を演じていることをご存じですか? もう一つの役も女性の役です。

前項の「彼女」の名を知っている人なら、きっとご存じのはず。エンドロールやパンフレットをきちんとご覧になった方はお分かりですね。高山みなみはキキのほかに、森の絵描き少女ウルスラも演じています。

つまり、キキが山小屋に泊まりに行った場面での二人の会話は、高山の一人芝居なのです。性格や話し方がまったく違うキキとウルスラですが、こんな風にきっぱりと演じ分けることができる高山みなみという人は、とてもすぐれた声優ですね。

魔女の宅急便トリビア5.『魔女の宅急便』の重要人物「コポリ」って誰?

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

『魔女の宅急便』の登場人物たちは、無国籍風の変わった響きの名を持つ人が多いです。その中に「コポリ」という名の人物がいることをご存じですか?とても重要な位置にいる人物です。

飛行クラブに所属して、人力飛行機づくりに励む、眼鏡をかけた男の子――そう、トンボです。トンボの本名が「コポリ」なのです。おソノさんがトンボ宛ての荷物の配達をキキに頼むときに「コポリさんに」と言っています。

原作では「とんぼさん」と呼ばれていて、前項に登場したウルスラ同様、本名が登場しません。

魔女の宅急便トリビア6.『魔女の宅急便』間に合わなかった主題歌

『魔女の宅急便』&『おもひでぽろぽろ』ブルーレイ発売記念トークショー(松任谷由実&鈴木敏夫プロデューサー)

意気揚々と故郷を旅立ったキキがほうきからぶら下げたラジオのスイッチを入れると流れ出す、ユーミンこと荒井由実の「ルージュの伝言」。

故郷を離れた町で心細いながらもいくつかの経験を重ねて、これからもなんとかがんばっていけそう、という希望を感じさせるエンディングに流れる「やさしさに包まれたなら」。

いずれもとても印象的でしたね。

「ルージュの伝言」は1975年に、「やさしさに包まれたなら」は1974年にリリースされた曲です。それが20年ののちに『魔女の宅急便』で使用されて、リバイバルヒットとなりました。『魔女の宅急便』をきっかけにユーミンを聴きはじめたという方も、もしかしたらおられるのでは?

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

当初はこれ等の曲を使用するのではなく、ユーミンに主題歌を「書き下ろしてほしい」と依頼していたのだとか。まったくの新曲が使用される予定だったのです。

しかし、『魔女の宅急便』の制作期間が短く締切が早かったこともあり、新曲は期日までに仕上がらず、過去曲をチョイスして使用することになったのでした。のちに鈴木敏夫プロデューサーは「あの2曲がなければあの映画は成立しなかった」と発言しています。

映画の演出もうまく行き、リバイバルヒットにも繋がったということで、ユーミンの筆が進まなかったことが功を奏したとも言える、運命の妙を感じさせる一件です。

魔女の宅急便トリビア7.『魔女の宅急便』はスタジオジブリの起死回生の一作!

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

1985年のスタジオジブリ設立以降、宮崎駿監督が1986年に『天空の城ラピュタ』、1988年に『となりのトトロ』、高畑勲監督が1988年に『火垂るの墓』を制作しましたが、いずれも興行成績が奮わず、赤字でした。

アニメファンの間では大変な人気作品ではありましたが、当時はまだ一般の人はあまりアニメーションを見ない時代で、スタジオジブリも設立間もなく、実績もありませんでした。そのため「知る人ぞ知る」的位置にとどまっていたのですが、『魔女の宅急便』は宣伝に力を入れ、本家「宅急便」のヤマト運輸の協賛があったこともヒットに繋がりました。

『となりのトトロ』と『火垂るの墓』は同時上映で、いまではいずれも人気作で知らない人の方が少ないのではないかと思われるほどの作品ですが、観客動員数を見てみますと、『魔女の宅急便』はこの2本の3倍以上を記録しています。

このヒットを以て、スタジオジブリはようやく黒字に転じたのでした。このヒットがのちに続く『おもひでぽろぽろ』や『紅の豚』などのジブリの作品群につながっていきます。

魔女の宅急便トリビア8.『魔女の宅急便』のあの絵は実在のもの+α

『魔女の宅急便』©1989 角野栄子・二馬力・GN

劇中でキキは大きなスランプに陥ります。ほうきで空を飛ぶことができなくなり、大切なパートナーであるジジの言葉も分からなくなってしまいます。そんなときにウルスラが住む山小屋にキキは泊まりに行きます。

そこでウルスラから「絵のモデルになってほしい」と請われ、戸惑いながらもキキはモデルを務めます。そうしてでき上がるのが、天馬と少女と牛が赤い月が昇る夜空を駆ける、大きな油彩画です。

この絵にも「原作」があります。青森県の八戸市立湊中学校養護学級の生徒が共同で制作した連作「虹の上をとぶ船」のうちの一作、「星空をペガサスと牛が飛んでいく」という版画がそれです。この作品をもとに美術監督である男鹿和雄が彩色、加筆したものが作中に登場するウルスラの絵です。

素朴で繊細さを秘めながらも力強い、神秘的な雰囲気の絵として仕上がっています。

魔女の宅急便トリビア9.『魔女の宅急便』の舞台のモデルとなったのは2つの街

©APOLLO

ほうきで故郷を飛び立ったキキが自分の町に決めたのはコリコの町。海に面した、白い壁の建物が目につく石畳の町並みには、モデルとなった街があります。

一つは北欧、スウェーデンの南西、バルト海に浮かぶ島ゴットランド島の都市ヴィスビュー。やはり海に面していて、オレンジ色の屋根と白い壁の建物が建ち並ぶ風景がそのまま『魔女の宅急便』の中に再現されていると言われています。

もう一つは同じくスウェーデンの首都ストックホルム。こちらも水辺のうつくしい街ですが、ヴィスビューよりも都会です。石畳が整えられた舗道やそこを行き交う人々の姿など、コリコの町にその息吹が反映されています。

スタジオジブリ公式ホームページでも「大いに参考にした場所」として上記の街の名が挙げられています。

魔女の宅急便トリビア10.歩きはじめたキキとキキの未来像を表す人たち

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