AAAのボーカルによるアクロバティックな盗撮!【愛のむきだし】
© 愛のむきだしフィルムパートナーズ
園子温監督本人の体験や、取材で聞いた話をもとに構成された4時間超えの長編。音楽グループ「AAA(トリプル・エー)」でメインボーカルを担当する西島隆弘が主演。音楽を担当したのは2010年に解散した「ゆらゆら帝国」。メインキャストに満島ひかり、安藤サクラを起用。渡部篤郎、板尾創路らクセのあるベテラン俳優が脇を固めます。
『愛のむきだし』 -(C) 愛のむきだしフィルムパートナーズ
神父の父・テツ(渡部篤郎)と2人で暮らす少年・ユウ(西島隆弘)は盗撮が趣味。ふとしたことがきっかけで出会った少女・ヨーコ(満島ひかり)に恋をするが、ヨーコと家族が新興宗教にハマったため、その宗教に戦いを挑む、というストーリー。作中で満島ひかりが扮した「サソリ」の姿は、東映制作の『女囚さそりシリーズ』へのオマージュです。
人生は、痛い【冷たい熱帯魚】
園子温と悪魔主義者のデザイナー髙橋ヨシキによる共同脚本。制作陣によるとここまでヒットするのは予想外だったそうです。妻と娘の3人で冷え切った体裁のみの家族生活を送る熱帯魚店の店主・社本(吹越満)は、娘の万引きをきっかけに同じく熱帯魚店を営む中年男性、村田(でんでん)に出会います。村田は社本の娘を自分の店で住み込みの従業員として雇うことを提案。そこから社本の人生は目まぐるしく変化していきます。今までの自分を真っ向から否定し、崩壊させる観念。一度も足を踏み入れることのなかった世界。狂気、暴力、愛憎の果てに彼を待つものとは?
村田との出会いと、それから起こる出来事によって、社本の精神構造は大きく変化していきます。思い描いていた幸せと、どうにもならない現実。ラストシーンで彼が絞り出した「人生ってのはなぁ、痛いんだよ」という言葉に胸がつまります。
住田がんばれ、住田がんばれ【ヒミズ】
『ヒミズ』 -(C) 『ヒミズ』フィルムパートナーズ
2016年に公開された『ヒメアノ~ル』の原作者でもある古谷実の漫画が原作。“普通の大人になること”を願う住田(染谷将太)と“愛する人と守り守られ生きること”を夢見る茶沢(二階堂ふみ)の2人が、ある事件を発端に対面する出来事を描いた物語。
© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ
主演の染谷将太と二階堂ふみは、ヴェネチア国際映画祭で日本人初の快挙となる最優秀新人賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)をW受賞しました。
はい、カット!【地獄でなぜ悪い】
© 2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会
若いころから監督としてデビューすることを熱望していた映画フリークの青年が、本物のヤクザの抗争をフィルムにおさめるというあらすじ。画面上にはコミカルに血しぶきや生首が飛び交っています。
『地獄でなぜ悪い』(C)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会
最初にヤクザから映画監督を任された通りすがりの不幸な青年を星野源、星野源から代わりに監督をつとめることを依頼された前述の映画フリークの青年を長谷川博己、敵対するヤクザの組長を國村隼、堤真一がそれぞれ演じています。
命のやりとり、吐き出すリリック【TOKYO TRIBE】
鈴木亮平(メラ役)VS YOUNG DAIS(海役)/『TOKYO TRIBE』-(C) 2014INOUE SANTA/TOKYO TRIBE FILM
井上三太による伝説的コミックを実写化した『TOKYO TRIBE』。鈴木亮平、窪塚洋介、佐藤隆太、染谷将太ら豪華俳優を起用した本作は、初日2日間の成績が観客動員数28,079名、興行収入41,896,556円となり、園子温監督作品史上例のない大ヒットをおさめました。
鈴木亮平(メラ役)/『TOKYO TRIBE』-(C) 2014INOUE SANTA/TOKYO TRIBE FILM
自分たちの街と仲間を守るため、“トーキョー”中のトライブ(族)たちがバトルを繰り広げます。鈴木亮平は主人公の宿敵、メラを熱演。肉体美を惜しみなく披露しています。
メッセージ性が強い園子温映画からあなたは何を考える?
『冷たい熱帯魚』のラストのセリフや、『地獄でなぜ悪い』というタイトルそのものからも分かるように、園子温の映画は強いメッセージ性を含んでいます。人生は痛い。この世は地獄でもともと。なら、その中でどう生きていくか?今回のまとめで挙げた映画を通して、考えてみてください。