ドイツ映画おすすめ①『4分間のピアニスト』(2007)
©2006 KORDES & KORDES FILM GMBH/SWR/BR/ARTE
2007年公開のドイツ映画『4分間のピアニスト』は、本国ドイツで大ヒットした音楽ヒューマン・ドラマ映画です。
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若い頃は、正統派の卓越したピアニストとして有名だった老女クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、現在刑務所で囚人相手にピアノを教えている。
ある日、一人の少女が熱心に机でピアノを弾く真似事をしているのを発見。
その手の動きを見て、只者ではない才能を嗅ぎ取る。
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その少女は、刑務所の中でも札付きの問題児ジェニー(ハンナー・ヘルツシュプルンク)。
バラバラ殺人の犯人でした。
頑固に古典派を叩きこもうとするクリューガーと、荒々しく革新的なメロディーを愛するジェニー。
この性格も音楽的趣向も真逆な2人が、激しくぶつかり合いながらも次第に心を通わせていく物語。
実はジェニーは恋人をかばって無実の罪で処罰されており、クリューガーには過去に政治的な柵から同性愛者の恋人を裏切り、結果死に追いやってしまった過去がある。
そんな過去も共有していく。
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そんな二人が最後に果たす共同作業であるコンクールでの4分間のピアノ演奏シーンは衝撃的で鳥肌もの!
大迫力の演技を見せたジェニー役のハンナー・ヘルツシュプルングは、1200人のオーディションから大抜擢された新人でしたが、ストイックなレッスンと暴力シーンのリアルさを出す為のボクシングの練習なども実を結び、緊張感のある迫真の演技を見せています。
もう一人の主人公クリューガーを演じた大ベテラン女優モニカ・ブライブトロイの、20年老けさせたメイクと演技も素晴らしいです。
ドイツアカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞を受賞。
モニカ・ブライブトロイは主演女優賞を受賞しました。
『4分間のピアニスト』 ハンナー・ヘルツシュプルング photo:Yoshio Kumagai
ジェニーを演じたハンナー・ヘルツシュプルンクは、バヴァリアン映画祭で新人女優賞を受賞しました。
このショットの落ち着き感と、劇中のアウトロー感が別人のようです。
憑依型の女優さんかもしれません。
ドイツ映画おすすめ②『ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』(2011)
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2011年公開のドイツ映画『ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』は、ドイツの文豪ゲーテを主人公に描くラブ・ストーリー映画です。
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主演は、当時クエンティン・タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』にも出演するなどして国際的な注目を浴びていたアレクサンダー・フェーリング。
物語の舞台は1772年のドイツ。法律を学ぶ青年ゲーテは作家になるのが夢で、詩を書くことに夢中になる余り、法学の博士号の試験に落第してしまいます。
才能が無いのか、自分の書いた詩は出版社から突き返されたので、父親の意思に従って田舎町ヴェッツラーの裁判所で実習生として働く。
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ある日、ゲーテはヴェッツラーで知り合った友人たちと舞踏会に出かけます。
補足ですが、この写真を見ると分かるように、当時のファッションは甘さと優雅さを備えた後期バロック様式のロココが主流で、軽いパステル調の色合い、フリルやアクセサリーが流行していました。
なので、衣装デザイナーは時代に忠実なチョイスをしているんですね。
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そこでゲーテは素朴な笑顔が美しい15歳の少女、シャルロッテ・ブッフ(ミリアム・シュタイン)に出会い恋に落ちてしまいます。
激しく求めあう恋でした。
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一方、ゲーテの上司であるケストナーもシャルロッテに恋をし、求婚します。
受け入れるシャルロッテ。
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気持ちはゲーテにありましたが、ケストナーと結婚すれば彼女の一家の安泰が約束されるから。
本意ではありません。
彼女の一家は貧しかったのです。
恋に傷つき、友人たちもそれぞれに悩みを抱えている中で繰り広げられる青春時代を、ゲーテの大ベストセラー "若きウェルテルの悩み" の誕生秘話を交えて描いた抒情的な作品です。
ドイツ映画おすすめ③『ハンナ・アーレント』(2012)
『ハンナ・アーレント』 -(C) 2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT Productions SA ,Metro Communicationsltd.
2012年公開のドイツ映画『ハンナ・アーレント』は、ホロコーストを生き延びたドイツ出身の哲学者、思想家ハンナ・アーレントの伝記ドラマ映画です。
歴史にその名を刻み、波乱に満ちた人生を実話に基づいて映画化した作品。
『ハンナ・アーレント』 -(C) 2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT Productions SA ,Metro Communicationsltd.
1960年代初頭のある日、ハンナ(バルバラ・スコヴァ)は、ニューヨーカー誌から依頼を受け、何百万人ものユダヤ人の収容所移送を指揮したナチスの重要戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判の内容を傍聴、記録します。
『ハンナ・アーレント』 -(C) 2012 Heimatfilm GmbH+Co KG, Amour Fou Luxembourg sarl,MACT Productions SA ,Metro Communicationsltd.