伝説の演技派俳優、故ヒース・レジャー
ヒース・レジャー-(C)Getty Images
『アイム・ノット・ゼア』のN.Y.プレミアに出席したヒース -(C) Reuters/AFLO
1979年生まれでオーストラリアのパース出身のヒース・レジャー。学生時代はホッケーの選手として活躍し、高校を飛び級卒業して俳優の道に進みました。1999年『恋のからさわぎ』でハリウッドデビューを果たしてからは『ブロークバック・マウンテン』で難しい役柄を見事に演じ、弱冠26歳でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるほどの演技派に!2008年『ダークナイト』にジョーカー役として出演し、続いて『Dr.パルナサスの鏡』の撮影中に、マンハッタンの自宅で亡くなっている姿が発見されました。享年は28歳でした。
運命の作品、2008年『ダークナイト』
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
亡くなる前に演じたことで伝説となった2008年『ダークナイト』のジョーカー役。『ダークナイト』は、アメリカン・コミックスの出版社DCコミックスのバットマンを描いた実写映画のシリーズのひとつで、クリストファー・ノーラン監督が手がけました。ジョーカーが登場する『ダークナイト』は2作めにあたり、一際高い評価を受けている作品でもあります。
■バットマン役はクリスチャン・ベール
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
シリーズを通して主人公であるバットマン/ブルース・ウェインを演じているのは、クリスチャン・ベール。クリスチャンは役作りのための体作りによる体重の増減が激しいと言われている俳優で、役のために54kgまで体重を落としていたところから、バットマンシリーズのために厳しいウェイトトレーニングに臨み、半年ほどで86kgまで増量したというから驚き!バットマンであるブルース・ウェインも人間離れしたストイックさを持つキャラクターなので、クリスチャンが演じるのにぴったりだったのかも!?
■これまでにないジョーカーを作り上げたヒースの圧巻の役作り
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
クリスチャンの役作りもさることながら、アカデミー賞助演男優賞を受賞したヒースのジョーカーの役作りも半端ない!なんと1ヶ月もの間ロンドンのホテルに泊まり込み、"狂気の犯罪王"と呼ばれるジョーカーの不気味さを追求した役作りに打ち込んだそうです。
-(C)APOLLO
TM & © DC Comics © 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
乱れた緑色の髪に剥がれかけた白塗りのメイク、毒々しい紫のスーツに猫背。そして極め付けは張り付いたような独特の笑み。紛うことなき"狂気の犯罪王"でありながらも、今までとは違った新たなジョーカー像を創り出しました。彼のこの徹底した役作りと演技はまさに「怪演」という言葉がぴったりで、ファンのみならず批評家にも絶賛されました。撮影終了後、ヒースは作品の完成を待たずに亡くなってしまうのですが、この役でアカデミー賞助演男優賞を受賞!故人がオスカーを受賞するのは、ピーター・フィンチ以来2人めの快挙でした。
■『ダークナイト』シリーズを手がけたのはあのクリストファー・ノーラン監督
クリストファー・ノーラン - (C) Getty Images
バットマン三部作"ダークナイト・トリロジー"を手がけたのはクリストファー・ノーラン監督。音響や画面作りに徹底して拘ることで有名な監督で、極力CG技術を使わず、『ダークナイト』作中でジョーカーが病院を爆破させるシーンでは、なんと実際にビル一棟を丸々爆破して撮影!さらに、通常の映画よりも広くダイナミックな画面を作ることができるIMAXでの撮影を長編映画で初めて取り入れたのもノーラン監督。
『ダンケルク』(C)2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
『ダンケルク』(C)2017 Warner Bros. All Rights Reserved.
そんなノーラン監督が手がけた2017年『ダンケルク』では、WW2でのイギリスによる稀代の大規模脱出作戦である"ダイナモ作戦"を臨場感たっぷりに作り上げて話題になりました。映画館の音響と大画面で観ると、いつ降りかかるかわからない砲弾への恐怖を感じるほど!
役作りに拘る俳優たち、そして音響や臨場感など徹底した雰囲気作りに拘る監督によって生まれた『ダークナイト』は、今でもファンの中から「最高のバットマン映画」という声が上がる作品なのです。
ヒース・レジャーの他にも名優揃い!これまでにジョーカーを演じた俳優たち
ディカプリオも参戦? “歴代ジョーカー俳優”は名優ぞろい
ディカプリオも参戦? “歴代ジョーカー俳優”は名優ぞろい
"ダークナイト・トリロジー"以外に、これまでにも実写映画化されてきたバットマン。中でもジョーカーを演じてきた俳優は、もちろんヒースも含めて、名優揃いと評判です!
1989年のティム・バートン監督作品である『バットマン』では、化学薬品槽に落ちた影響で肌が漂白され、顔面の神経麻痺により常に引きつった笑みを浮かべたままの表情になってしまい、次第に精神が狂っていく…という、コミックスでのジョーカーの設定に近い成り立ちが描かれています。元はマフィアの右腕でしたが、容姿がトランプのジョーカーのように変貌してしまったことで狂い、周りの人間を殺してゴッサムシティの犯罪王になります。まさに道化、といった風貌のジョーカーで、ヒースのジョーカーとはまた違った怖さが…。