映画『レ・ミゼラブル』のあらすじ
『レ・ミゼラブル』来日決定リリース
映画『レ・ミゼラブル』は2012年公開、イギリスのミュージカル大作映画。
文豪ヴィクトル・ユーゴーが執筆した小説を元に世界各国でロングラン上演されてきたミュージカル劇を、アカデミー受賞の経歴を持つトム・フーパー監督が "人を許すこと" をテーマに映画化しました。
© 2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
舞台は1815年のイギリス。
一個のパンを盗んだ罪で19年の獄中生活を強いられてきた男、ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)が仮出所した所から始まります。
19年前ジャン・バルジャンは、貧しい生活の中お腹を空かせた妹の為に一個のパンを盗んだのです。
警官のジャベール(ラッセル・クロウ)の執拗な監視が光る中、外界に出たジャンはジャベールに持たされた "危険人物" と記された身分証明書のせいで働き口も無くお腹を空かせながら徘徊していました。
そこに現れたのは慈悲深い老司教。
そこでお世話になり食事などの施しを受けたにも関わらず、ジャンはそこで盗みを働く。
警官たちから攻撃を受けている所を、さらに老司教が救いの手を伸ばしたことで人生が一変。
仮出所の身分を捨て、別人マドレーヌとして生きる決意をした。
正しい道を追い求め、やがて市長にまで登り詰めます。
そんな時偶然、法に忠実な警官ジャベールと再会!
ジャベールは、市長マドレーヌが忘れもしない宿敵ジャン・バルジャンであると見抜いてしまいます。
再び始まる逃亡生活の中、市長である自分のミスで仕事を奪われ娼婦にまで身を落とした女性ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)とその娘コゼット(アマンダ・セイフライド)に遭遇した事から、コゼットの父親代わりとして彼女を守り抜く決心をするが...。
というストーリーです。
映画『レ・ミゼラブル』の見どころ①警官ジャベールとの腐れ縁対決
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映画『レ・ミゼラブル』に於いて、もっとも重要な軸となるのはラッセル・クロウ演じる警官ジャベールと、ヒュー・ジャックマン演じる逃亡犯ジャン・バルジャンそれぞれの正義のぶつかり合い。
ジャベールは警官として、どれだけ小さな罪であろうと関係ない。どんな手を使ってでも連行して痛みつけることが正しいと信じ貫いている、警官としては威厳はあるが人間としては相当に非情な男。
どこまでもジャン・バルジャンを追いかけ、追い詰めまくります。
一方の逃亡者ジャン・バルジャンは、どんな事情を抱えていようとも困っている人間を見過ごせず、どんな手段を使ってでも助けてしまう慈愛に満ちた男です。
宿敵ジャベールの危機まで助けるのですから、筋金入りです!
そんなジャン・バルジャンの行動を目の当たりにしているジャベールは、密かに何度も心折れかけているのです。
両者とも頑なな信念を持ちつつ、ある種の引け目と偽りの自分を背負って生きている。
この二人のぶつかり合いが、限りなくドラマチック。
映画『レ・ミゼラブル』の見どころ②美しいシングル・マザー、ファンティーヌの転落劇
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映画『レ・ミゼラブル』に於いてのもう一人のキーパーソン、ファンティーヌ。
彼女はジャン・バルジャンが別人として生き、市長となった時に工場で働いていた若く美しい女性。
ある日彼女は、工場内で吹っ掛けられたいざこざが原因で突然クビになり職を失ってしまいます。
幼い娘、コゼットを養わないといけないのに訳も無くクビにされ、そこに居合わせたジャン・バルジャンは手違いで救うことが出来ませんでした。
娘を養う資金を得る為に美しい髪の毛を売り、歯も売り、しまいには体も売って生活せざるを得なくなる。
ジャン・バルジャンと再会した時にはもう手遅れで、丸坊主で歯も無く痩せこけたファンティーヌは病死寸前でした。そうやって娘に全てを捧げたのです。
ジャン・バルジャンは、その日からコゼットの父親として生きる事になります。
ファンティーヌを演じたアン・ハサウェイの感情表現は圧巻!
悲痛と深い愛がはじけた心揺さぶる演技にブルっと震えてしまいます。
映画『レ・ミゼラブル』の見どころ③娘コゼットの恋が招いた試練
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映画『レ・ミゼラブル』でのジャン・バルジャンの最後の試練は、大切に育てて守ってきたコゼットの恋。
美しく成長したコゼット(アマンダ・セイフライド)は、ある日偶然町で目が合った若き革命家マリウス(エディ・レッドメイン)と一瞬で恋に落ちました。
そんな中、またもやジャベールに見つかってしまったジャン・バルジャンは、マリウスと離れたくないと言うコゼットを連れて逃亡しますがマリウスは諦めずに追いかけてきて愛を貫きます。
『レ・ミゼラブル』Film (c)2012 Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVEDArtwork (c)2013 Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVED
本気の2人の恋心に心打たれたジャン・バルジャンは、革命家として挑むマリウスたち学生革命軍の戦いにこっそり潜入。
瀕死のマリウスを救い出し、そこで思い切った決断をします。
これは、娘を持つ世の父親たちに必ず訪れる心の葛藤が、誇張した究極の形で表現された名シーンだと思います。
映画『レ・ミゼラブル』で登場する素晴らしい脇役たち
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映画『レ・ミゼラブル』では、主要キャスト以外にも売春宿や学生革命軍の溜り場などから素晴らしいキャラクターが登場してストーリーを盛り立てています。印象に残る何人かを紹介したいと思います。
ヘレナ・ボナム=カーター -(C) Getty Images
まずは、夫とともに売春宿を経営しているテナルディエ夫人を演じるヘレナ・ボナム=カーター。
どこまでもゲスく腐った女性を、彼女特有の個性を活かした絶妙なやさぐれ感で演じています。
監督のトム・フーパーとは『英国王のスピーチ』から2年ぶりのタッグとなります。
彼女にとって、癖の強い役ならお手の物。
悪女や奇怪な役どころが多い彼女には、邪悪な人物を魅力的なキャラクターに昇華してしまう不思議な魅力があります。
私生活では事実婚をしていた映画監督のティム・バートンとの間に2人の子供を設けています。
第85回アカデミー賞(サマンサ・バークス)-(C) Getty Images
そんな鬼畜な売春宿のテナルディエ一家に生まれ、どうしようもない両親を持つ娘エポニーヌを演じるのは歌手で舞台を中心に活動している女優サマンサ・バークス。
学生革命軍のマリウスがコゼットに夢中な中、彼に報われない恋をします。
誰にも愚痴すらこぼさず一方的に愛し続ける切ない演技に、熱く胸を撃たれます。
素晴らしい歌唱力で健気な乙女心を歌い上げる姿が感動的で、彼の思いを優しく受け止めて涙するシーンはもしかしたら劇中で一番感動させてくれたシーンかもしれません。
そのくらい感情移入できる素晴らしい演技でした!
第85回アカデミー賞『レ・ミゼラブル』パフォーマンス(アーロン・トヴェイト)-(C) Getty Images
世の中を変えるため、マリウスと一緒に学生革命軍で活躍するアンジョルラス役を演じているのはアーロン・トヴェイト。
彼も舞台中心に活躍しているアメリカ出身の俳優。
「ゴシップ・ガール」などの人気TVドラマシリーズにも出演しています。
本作では、革命家の名に恥じない非常に男気のある若者を等身大で演じきり、持ち味である素晴らしい歌唱力で革命児たちを引っ張っていく役どころを力強く好演しています。
ダニエル・ハトルストーン-(C) Getty Images
その学生革命軍と志を共にし、パリの路上で暮らしている少年ガヴローシュという存在感抜群のチビっこ。
彼を演じていたのはミュージカル俳優のダニエル・ハトルストーン。
『イントゥ・ザ・ウッズ』ポスタービジュアル -(C) 2015 Disney Enterprises,INC. All Rights Reserved.
ディズニー製作のミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』にも出演していて、その中で「ジャックと豆の木」のジャックを演じています。
現在は19歳。『レ・ミゼラブル』出演当時は13歳でした。
劇中、クシャっとしたロン毛で態度がデカい、ヤンチャな演技を見せていてとにかく可愛い♡
それだけにその無鉄砲さが痛々しくもあり、感情移入してしまう愛すべき登場人物です。