ギレルモ・デル・トロ監督の生い立ち
ジミー・キンメル&ギレルモ・デル・トロ監督/第90回アカデミー賞(C)Getty Images
ギレルモ・デル・トロ監督の生年月日は1964年10月9日で、メキシコ出身です。
メキシコ人らしくない色白の肌で、スポーツにも興味が無いことから少年の頃から友人がいないし常に孤独で、テレビの中の怪獣だけが友達だったんだそう。
特に日本のマンガや特撮映画、ロボットアニメには没頭していました。
円谷英二を尊敬していて手塚治虫、永井豪、スタジオジブリ作品、『ゴジラ』シリーズの本多猪四郎監督作品などは大好物。
メキシコ国立自治大学付属映画学校で学び、特殊メイクの巨匠ディック・スミスに弟子入り。
メキシコに帰国してから自身で特殊メイク・造形の会社を立ち上げて10年以上も特殊メイクに携わりました。
その後、1993年の映画『クロノス』で本格的に映画監督デビューを果たしました。
彼が29歳の時です。
ギレルモ・デル・トロ監督のキャリア
ギレルモ・デル・トロ監督/『シェイプ・オブ・ウォーター』来日会見
ギレルモ・デル・トロ監督の初監督作品は先述の1993年公開作品『クロノス』。
メキシコ発、異色の吸血鬼ホラーです。
そこから4年後の1997年には、ハリウッド進出第1作となる作品『ミミック』を製作。
新種の昆虫と人間との戦いを描くSFホラーです。
そして2001年に監督したスペインのホラー・ミステリー『デビルズ・バックボーン』が第16回ゴヤ賞で衣裳デザイン賞と特殊効果賞にノミネートされました。
2002年にはアメリカのマーベル・コミックからのヴァンパイア・アクション映画『ブレイド2』で前作のスティーヴン・ノリントン監督を引き継ぎました。
2004年にはアメコミ「ヘルボーイ」を映像化した、アメリカのサスペンス・ドラマ映画『ヘルボーイ』を手掛けました。
ギレルモ・デル・トロ監督、映画『パンズ・ラビリンス』でファンタジー映画のヒットメイカーとなる!
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
映画『パンズ・ラビリンス』は2006年公開、メキシコ・スペイン・アメリカのダーク・ファンタジー映画です。
内戦後のスペインで生きる、不幸な身の上の女の子が体験する不思議な出来事を描いた作品。
監督・脚本・製作をギレルモ・デル・トロが担当しています。
アカデミー賞3部門受賞の快挙!『パンズ・ラビリンス』 メイン
製作チームには、『ROMA/ローマ』第76回ゴールデングローブ賞を受賞したばかりで話題沸騰、そして戦友である映画監督アルフォンソ・キュアロン監督(写真右)もプロデューサーとして名を連ねています。
ギレルモ・デル・トロ(写真中心)&アルフォンソ・キュアロン&アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(写真左)の3人はメキシコ映画界を代表する映画監督として「スリーアミーゴス・オブ・シネマ」と呼ばれています。
2007年にはこの3人が共同取締役の映画会社「チャチャチャ・フィルム」を立ち上げています。
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
本作の舞台は、内戦終結後も圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる1944年のスペイン。
自由などなく恐怖に怯えながら暮らす人々。
そんな中、内戦で父を亡くした少女オフェリア(イバナ・バケロ)は、臨月の母親と一緒に新しい父がいる山奥に行くことに...。
さらに不幸なことに、新しい父はレジスタンス掃討の指揮を取る冷酷な男でした。
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
逃げ場のない暮らしの中、オフェリアはある日不思議なルックスの昆虫に導かれて "もう一つの世界" の迷宮に足を踏み入れることに。
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
そこで出迎えてくれたのはパンという牧神。
牧神は、オフェリアが魔法の国のプリンセスの生まれ変わりである事実を話し、満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来るんだと告げます。
オフェリアに一筋の希望が見えてきました。
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
そして試練を受け入れる覚悟を決めたオフェリアだったが...。
©2006 ESTUDIOS PICASSO, TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ
劇中にはこのような奇怪なクリーチャーが登場したりしていますが、やはり美術センス溢れるギレルモ作品。
直接的なグロさは感じられず、どこかアーティスティックで格調高い仕上がりになっています。
ライティングや衣装、背景の色使い、造形などが美術品のように美しいです。
ギレルモ・デル・トロは、この作品で数々の映画賞を席巻しヒットメーカーとして世界から注目される存在となりました。
『パンズ・ラビリンス』 イバナ・バケロ photo:Yoshio Kumagai
ヒロインを演じたのはスペイン出身の知的女優、イバナ・バケロ。
イバナは1,000人以上の少女たちの中からオーディションで選ばれた才女で、学業をきちんと習得した上で現在もアメリカのTVドラマシリーズ「シャナラ・クロニクルズ」で活躍中です。
オフェリアという少女のキャラクターを、当時13歳の少女だった彼女とギレルモとの共同作業で作り上げたんだそう。
撮影を振り返り、彼女はギレルモ監督の事を「大きな子供みたい」と感じたそうです。
優しく大らかな性格で、すぐ仲良くなったそうです。
しかし、13歳の少女に "子供みたい" と感じさせてしまうギレルモは、純粋な "映画愛" に溢れた人物なんですね。
ギレルモ・デル・トロ監督、映画『ヘルボーイ』『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』で夢を実現!
© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
映画『ヘルボーイ』は2004年公開、アメリカのアクション・アドベンチャー映画。
アメリカの漫画家マイク・ミニョーラが1993年にダークホースコミックスより刊行したオリジナル作品「ヘルボーイ」を映像化した作品です。
マイク・ミニョーラは、2002年にギレルモ・デル・トロが監督した映画『ブレイド2』で美術監修を担当。本作でも自らモンスターから背景までのデザインを手がけています。
ギレルモは長年マイク・ミニョーラの大ファンで『ヘルボーイ』の映画化を夢見ていたので、これはギレルモの夢が最高の形で実現した作品となります。
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第二次世界大戦末期の1944年、敗色濃厚な旧ドイツ軍が起死回生の為に妖僧ラスプーチンと手を組み目論んだ「ラグナロク計画」を実行に移そうとしていた。
それをアメリカ軍が阻止すべく襲撃。妖僧ラスプーチンは異界に吸い込まれたが、不可抗力で産み落とされたのが "ヘルボーイ" (ロン・パールマン)。
超常現象学者ブルーム教授(ジョン・ハート)が設立した極秘の超常現象調査防衛局でエージェントとして育てられた。
地獄生まれだが、心優しい "ヘルボーイ" 。
60年の月日が流れ、そこには巨大な右腕を持ち、エージェントとして魔物退治を請け負い、戦い続ける "ヘルボーイ" の姿が。
そんなある日、ラスプーチンが復活した事を知る...。
本作はギレルモやミニョーラの強いこだわりで主演は知名度の高い俳優ではなくロン・パールマンを推した為、製作会社と対立。説得にも時間を掛け、更に製作費も大幅削減されました。
それでも結果、大ヒットしたのです。
なので続編は製作会社を大手ユニバーサル・スタジオに移し、同じ製作陣により製作、全てがグレードアップされて完成しました。
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それが2008年公開の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』。
ヘルボーイは、相棒で水棲人のエイブ(ダグ・ジョーンズ)や恋人で念動発火能力者のリズ(セルマ・ブレア)らと一緒に、相変わらず超常現象捜査局の凄腕エージェントとして魔物退治を繰り広げています。
恋人のリズとは喧嘩が絶えず、しかも妊娠の兆しが。