Netflixオリジナル作『トリプル・フロンティア』Triple Frontierとは?
ベン・アフレック-(C)Getty Images
『トリプル・フロンティア』とは、『アルゴ』や『ゴーン・ガール』のベン・アフレックや、『エクス・マキナ』『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』のオスカー・アイザックなど、大御所キャストを5人も集結させて描かれる、サスペンスアクション。監督には『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のJ・C・チャンダーが抜擢され、脚本を『ゼロ・ダーク・サーティ』のマーク・ボールが執筆するなど、Netflixオリジナル映画の中でもとりわけ力が入っている作品なのです。
『トリプル・フロンティア』Triple Frontierあらすじ
オスカー・アイザック-(C)Getty Images
南米にて現地の警察と働くサンディエゴ(オスカー・アイザック)。彼は情報屋の女性から、ある麻薬王が自宅に莫大な金を隠していることを知ります。現役時代、国の為に尽くしたにも関わらず、満足な恩恵を受けられないまま人生を過ごすことに憤りを感じているサンディエゴは、昔の仲間に呼びかけて、麻薬王からの金を盗む計画を持ちかけます。4人の仲間も退役後満足な生活ができていないことから計画に参加するも、想像を絶する大金を目の当たりにしたことで、彼らの計画と関係が徐々に狂いはじめ…。
『トリプル・フロンティア』Triple Frontierの撮影までにはいろいろあり…?
キャサリン・ビグロー監督 Matt Petit / -(C) A.M.P.A.S.
元々、『トリプル・フロンティア』は企画の段階では監督にキャスリン・ビグローを起用し、キャストにはトム・ハンクスやジョニー・デップのなが上がっていました。しかし、この時2010年。ここから企画は一向に進展せず…2015年になると、ビグロー監督が降板し、J・Cチャンダーが起用され、さらにキャストにウィル・スミスが出演予定と報じられました。
トム・ハーディ-(C)Getty Images
しかし2017年、これまでのキャストの話はなかったことになり、代わりにトム・ハーディ、チャニング・テイタム、マハーシャラ・アリが起用されます。すると今度はパラマウント映画が企画から離脱。またキャストをほぼゼロからのスタートで決めるとこになると、配給権をNetflixが獲得し、現在のキャスティングに落ち着きました。ちなみにベン・アフレックは一度降板したのち、『トリプル・フロンティア』に復帰しています。
『トリプル・フロンティア』Triple Frontierを監督したJ・C・チャンダーとは?
オスカー・アイザック×ジェシカ・チャステイン/『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』-(C)2014 PM/IN Finance.LLC.
『トリプル・フロンティア』を監督したJ・C・チャンダーは、これまで手がけた作品のほとんどが高評価を得ているという、実力ある監督なのですが、日本で公開された作品はまだ2作だけ。未公開の作品を含めても、その数は3作とまだまだ少ないのが現状です。しかし日本で2014年に公開された『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』は、オスカー・アイザックとジェシカ・チャステインの共演が話題を呼び、ストーリーや当時の世界観、ファッションなど、完成度の高い作品として高評価を得たのです。『トリプル・フロンティア』は『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』からおよそ5年ぶりの新作となります。
■『トリプル・フロンティア』Triple Frontier監督過去作①『マージン・コール』
オスカー・アイザック-(C)Getty Images
アメリカ大手投資銀行、「リーマン・ブラザーズ」をモデルとした銀行を舞台に、リーマンショックが起きたことによる、登場人物たちの決断や揺らぎを描いたドラマ映画。日本では劇場未公開作となりますが、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で、金熊賞を争うほどの評価を得ています。「経済なんてサッパリ」という人でも、役者たちの熱演と、ドラマ展開にどんどん引き込まれていく点があるので安心して楽しめます。当時は自主映画として撮影されたものですが、キャストには『トリプル・フロンティア』のように、ケヴィン・スペイシーをはじめジェレミー・アイアンズやポール・ベタニー、デミ・ムーアといった有名な役者が顔を連ねており、数あるウォール街映画の中でも異彩を放っています。
■『トリプル・フロンティア』Triple Frontier監督過去作② 『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』
『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』-(C) 2013 All Is Lost LLC
スマトラ海峡から3150キロ沖。自家用ヨットに乗りインド洋をたった一人で航行していた男に悲劇が起きる。大きな漂流コンテナと衝突し、船体に穴が開いてしまった。運悪く、浸水によって全ての電子機器が故障してしまい、通信手段を失ってしまう。絶望的な状況の中、男は初めて自分自身の本当の気持ちと向き合う。そして、一番大切な人に向けて読まれるかどうかもわからない手紙を書き綴り始める。
『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』-(C) 2013 All Is Lost LLC
名優、ロバート・レッドフォードが海上でたったひとり遭難するという、斬新かつ大胆な名優の使い方が注目を集めた『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』。 キャストはロバート・レッドフォードひとりだけ、会話シーンもなし。一貫して海上でのサバイバルと、そこから生まれるドラマを徹底して描いています。こんな難しい世界観にも関わらず、ロバート・レッドフォードの演技は各方面から絶賛され「アカデミー賞主演男優賞にノミネートされてもおかしくない」との声も上がるほどでした。
■『トリプル・フロンティア』Triple Frontier監督過去作③『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』
© 2014 PM/IN Finance.LLC
1981年、今日も不穏な事件のニュースで1日が始まるニューヨーク。一代で築き上げたオイルカンパニー"スタンダード・ヒーティング・オイル社"の社長として、脇目も振らず働いてきた移民のアベル・モラレス(オスカー・アイザック)は大切な契約の日を迎えていた。事業拡大のためにユダヤ人の土地の購入を計画、手付金として全財産を支払うのだ。30日以内に残金を渡さなければ、その金は返ってこない。まさに人生を賭けた取引だった。ちょうどその頃、アベルの会社の運転手のジュリアン(エリス・ガベル)が襲われ、積荷のオイルごとトラックを奪われる。何度も続く強奪に、ブルックリンのギャングを父に持つ妻のアナ(ジェシカ・チャステイン)は、「これは"戦争"よ」と息まいて兄に相談しようとするが、クリーンなビジネスが信条のアベルはキッパリと制止する。弁護士のアンドリュー・ウォルシュ(アルバート・ブルックス)と共に、ローレンス検事(デヴィッド・オイェロウォ)を訪ねて助けを求めるアベル。この2年、ローレンスはアベルの会社に企業犯罪の疑惑を抱き、 徹底的に調べていた。同業他社も捜査していると睨んだアベルは、その情報から襲撃する連中の見当がつくはずだと考えたのだ。ローレンスはその頼みを断った上に、アベルを脱税と詐欺で告訴すると告げる。
© 2014 PM/IN Finance.LLC
原題の"A Most Violent Year"の通り、その危険な時代にオイルビジネスで成功を収めようとする、誠実な男の苦悩と選択を、当時の時代をリアルに再現した世界観でドラマチックに描いています。主人公の男(オスカー・アイザック)と妻との意見の食い違いや、八方塞がりになっても信念を通す主人公の姿は必見です。そしてその信念が最後にはどうなっていくのか?という考えさせられるラストが、より作品に余韻を与えてきます。
『トリプル・フロンティア』Triple Frontierの脚本家は、あの名匠とタッグを組んできた人物!
キャスリン・ビグロー監督&脚本のマーク・ボール -(C) Startraks/AFLO
元はジャーナリストであり、イラク戦争を題材とした2004年の映画『告発のとき』の原案となる記事を執筆したマーク・ボール。以後、アカデミー監督賞を初めて受賞した女性監督として知られるキャスリン・ビグローとタッグを組み続け、『ハート・ロッカー』ではアカデミー賞脚本賞を受賞しました。これまで実話を元にした脚本を書いてきたマーク・ボールですが、『トリプル・フロンティア』は初の完全フィクション作と同時に、キャスリン・ビグロー以外の監督が映像化した作品でもあります。