デヴィッド・リンチ監督の見ておきたい長編映画10本を詳しく紹介!

デヴィッド・リンチ監督の見ておきたい長編映画10本を詳しく紹介!

「カルトの帝王」デヴィッド・リンチの作品をご覧になったことはありますか? リンチ作品からおすすめの長編映画を10本選び、データやあらすじ、ちょっとした予備情報をご紹介します。この記事できっとリンチ作品が見たくなる!


デヴィッド・リンチ監督を知っていますか?

『デヴィッド・リンチ:アートライフ』-(C) Duck Diver Films & Kong Gulerod Film 2016

デヴィッド・リンチは1946年、第二次世界大戦終戦間もないアメリカ・モンタナ州ミズーリで生まれました。青年期には絵画を志して複数の美術学校に通い、その後AFI Conservatoryに入学。AFIとは「American Film Institute」の略称で、アメリカの映画芸術遺産の保護・発展を目的とする機関です。

AFI Conservatory入学の翌年から、リンチの名を世界の映画ファンの間に知らしめた作品『イレイザーヘッド』の自主制作をはじめます。作品の完成は1976年。この作品がリンチの長編映画監督としてのデビュー作となります。

デヴィッド・リンチ(C)Getty Images

続いて1980年に制作した『エレファント・マン』でアカデミー賞8部門にノミネート。これによって映画ファンにだけでなく広く名が知られるようになりました。

続いて『デューン/砂の惑星』というメジャータイトルを、そしてリンチのリンチたる作品として確立された『ブルーベルベット』を撮り、『ツイン・ピークス』という世界的大ヒットを生み出すに至ります。この頃には「難解・不気味・不条理」のリンチスタイルは広く知られて、それを楽しみにするリンチフリークもめずらしくはなくなりました。

映画『David Lynch: The Art Life』(原題)海外ポスター

2017年、テレビシリーズ『ツイン・ピークス』の続編『ツイン・ピークス The Return』が日本で公開されました。この頃にリンチは映画監督引退を示す発言をしています。

もしもこれがほんとうなら『ツイン・ピークス The Return』が最後のリンチ作品ということになります。しかしリンチ監督の作品がなくなってしまう訳ではありません。いまこそリンチ作品をもう一度見直すべきときだと言えましょう。

デヴィッド・リンチおすすめ映画①『イレイザーヘッド』

『イレイザーヘッド 4Kデジタル復元版』 (C)1977 David Lynch - All Rights Reserved.

AFI Conservatoryで学んでいた頃に制作した『イレイザーヘッド』は5人の協力を得たとは言え、リンチ自身が製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果の6役を務めて制作されました。「イレイザーヘッド」とは鉛筆の先端についている消しゴムのこと。これをタイトルを持つこの作品は、現在ではカルト映画の代名詞となっています。

『イレイザーヘッド』
監督・脚本・編集:デヴィッド・リンチ
音楽:ピーター・アイヴス
撮影:フレデリック・エルムス / ハーバート・カードウェル
公開:1977年(米国)/ 1981年(日本)
上映時間:89分
※モノクロ作品

「SPIRAL」(c)David Lynch

【あらすじ】
消しゴムのような髪型をしたヘンリーは、ある日恋人のメアリーから妊娠したと聞かされ、思いがけず結婚することに。生まれた子は奇形児でした。四肢はなく、頭部も人間のかたちではありません。

ヘンリーとメアリーは子供を育てようとしますが、絶え間なく鳴き声を上げる子供にメアリーは疲れ果て、家を出て行ってしまいます。1人残されたヘンリーも精神的に不調を来し、おかしな夢を見るようになってしまいます……。

『イレイザーヘッド 4Kデジタル復元版』 (C)1977 David Lynch - All Rights Reserved.

大変不気味で難解な映画です。アメリカでも映画館では上映を拒否され、深夜興行で上映されるというすべり出しで、上映最初の週に入った客はわずか25人でした。しかし、そのうち24人が翌週にもう一度上映を見にやってきたというエピソードが残されています。「カルトの帝王」に相応しいエピソードです。

ストーリーはリンチ自身の当時の状況を表していると言われています。舞台となる工業地帯は絵画のための留学からの帰国後に移り住んだフィラデルフィアで、リンチは最も影響を受けた街と言っています。

「CAFE:MONOCHROME(カフェ:モノクローム)」

また、ペンシルベニア芸術科学アカデミーに通う頃に知り合った最初の妻との間に長女が生まれていて、リンチは父になることをとても不安に思っていたのです。さらには幼子を置いて妻が出て行ってしまったというのも、映画の内容と同じです。

『イレイザーヘッド』にはリンチ映画のすべての要素が含まれていて、リンチの脳内そのものであると言われています。デヴィッド・リンチを知るためには欠かせない作品です。

デヴィッド・リンチおすすめ映画②『エレファント・マン』

『エレファント・マン』(C)1980 Brooksfilms Ltd. All Rights Reserved.

19世紀のイギリスに実在した「エレファント・マン」と呼ばれた青年、ジョゼフ・メリックの半生記をもとにした作品。『イレイザーヘッド』のカルト人気と奇形描写の評判によって、リンチが新人ながら監督に抜擢されました。

ジョゼフ・メリックを診察していたトレヴェス医師はメリックについて回想録を残しており、そこにはジョゼフではなくジョン・メリックと記述されています。これをもとに映画に先駆けて戯曲が生まれ、これ以降のメリックが登場する作品では彼の名は「ジョン・メリック」とされています。

『エレファント・マン』(C)1980 Brooksfilms Ltd. All Rights Reserved.

『エレファント・マン』でも主人公はジョンです。しかし、映画のおしまいに「これは『エレファント・マン』」として知られるジョゼフ・メリックの実話をベースに描いている。同じタイトルの演劇とは関連性はない」との文が映し出されます。

『エレファント・マン』
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:クリストファー・デヴォア / エリック・バーグレン / デヴィッド・リンチ
撮影:フレディ・フランシス
編集:アン・V・コーツ
音楽:ジョン・モリス
公開:1980年(米国)/ 1981年(日本)
上映時間:124分
※モノクロ作品

ジョン・ハート-(C)Getty Images

【あらすじ】
舞台は19世紀のイギリス・ロンドン。見世物小屋で「エレファント・マン」の演しものがあることを知ったトリーヴズ医師はそれをずっと見たいと思っていました。外科医として奇形者の骨格や身体の構造を知りたかった彼は「エレファント・マン」ことジョン・メリックを見世物小屋の興行師から引き取ります。

トリーヴズはジョンを診察し、状態を調べます。ジョンの奇形は当時の医学では治せないこと、奇形のためにジョンは身体が弱いこと、知的障害があることなどが分かりました。しかし実は、ジョンは聖書を読み、長々と暗唱できるほどの知性の持ち主でした。

アンソニー・ホプキンス-(C)Getty Images

知性と教養を備え、性格も温厚なジョンを引き取ったことをトリーヴズの病院の院長が新聞に投稿し、それによりジョンの存在は世間に知れ渡りました。演劇界の大物など上流社会の者たちが次々と慰問に。しかし、トリーヴズは自分が病院に引き取って現在のようにいろいろな人に会わせるということは、見世物小屋と同じではないのかと考えます。

その後、見世物小屋の興行師と再会して連れ去られる、虐待を受けるなどのひどい目にも遭いましたが、ジョンはトリーヴズのもとに戻ることができました。はじめて観劇をして、以前からつくっていたセント・フィリップ聖堂の模型を完成させ、とても満たされました。そして、いままでできなかった「健常者のように仰向け」になって眠りにつきました。

ケニー・ベイカー-(C)Getty Images

見世物小屋とエレファント・マン、病院とジョン・メリック、煤まみれになって働く炭鉱労働者と病院に保護されるジョンという対比が見る者に「考えよ」と命じます。『エレファント・マン』という作品が示すのは、ただ「差別はいけない」という「正しい」教訓やヒューマニズムにとどまらないのです。

本作は日本でもヒットし、それを受けて、同じ監督の作品ということで『イレイザーヘッド』も公開されました。その両方を見て「ヒューマニズムより猟奇趣味がリンチの本質」と評した人もいましたが、リンチ作品を見るときにはグロテスクさに惑わされてはいけません。グロテスクな部分もリンチ作品の魅力ですが、こちらもやはりそれだけではないのです。

デヴィッド・リンチおすすめ映画③『デューン/砂の惑星』

カイル・マクラクラン/新作「ツイン・ピークス」

『デューン/砂の惑星』は1973年にアレハンドロ・ホドロフスキーを監督に制作される予定でしたが、壮大すぎる構想と巨額の製作費が理由で制作中止に。1971年に取得された映画化権は人から人に渡り、3人目の権利者のもとでリンチが監督に就任、ようやく完成に漕ぎつけました。

原作はフランク・ハーバートのSF大河小説「デューン」シリーズの第1巻「デューン/砂の惑星」。最も歴史あるSF文学賞ヒューゴー賞と、アメリカSFファンタジー作家協会によるネビュラ賞を両方受賞した「ダブル・クラウン」です。映像化不可能と言われたこの作品をはじめて映像化したのがデヴィッド・リンチなのです。

この記事のライター

1年中アロハのおじさん。
「物語」が好きで、だから映画も大好きです。「午前10時の映画祭」が2019年度で終わってしまうのが残念です。

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