Netflix海外ドラマ「またの名をグレイス」あらすじ、キャスト＆ネタバレ解説

マーガレット・エレナー・アトウッド氏は、数々の文学賞を受賞しているカナダを代表する女性作家。60冊以上出版されている彼女の作品は、世界15カ国以上で翻訳されています。米国ハーバード大学大学院で英文学を学んだ後、カナダの大学で教鞭を取りながら、1966年に、詩集（サークル・ゲーム）でカナダ総督文学賞を受賞して本格作家デビュー。
1985年には、現在ドラマシリーズ化され、注目を浴びている（侍女の物語）で二度目のカナダ総督文学賞を受賞しています。彼女の作品のテーマは、カナダ文学の形成、女性問題、スペキュレイティブ・サイエンス・フィクション、動物愛護、政治問題に到るまで、とても幅広いです。1996年に発表された本作品の原作（またの名をグレイス）は、英国のブッカー賞にもノミネートされ、カナダのギラー賞を受賞しています。

マーガレット・アトウッド氏の作品の映像化３作目の「またの名をグレイス」。カナダのテレビ局CBCが製作しネットフリックスで世界配信されています。脚本は、カナダの映画監督、脚本家、女優であるサラ・ポーリー氏。彼女は、子役からスタートして女優を経て、脚本家、演出家として数多くの賞を受賞。社会活動家としても、有名であり、デモ等に積極的に参加しています。
このドラマは、植民地時代のカナダで、1843年に起きた実話を元に、架空の精神科医ジョーダン医師（架空の人物）と、殺人罪のため、終身刑を求刑され刑務所に服役していたグレイス・マークス（実在した人物）の微妙な関係を築きながら、グレイスが殺人を犯すまでの人生を振り返るスタイルで進行します。

サイモン・ジョーダン医師は、殺人の記憶がはっきりしないまま有罪になり、終身刑で既に15年間服役しているグレイス・マークスの精神鑑定を依頼される。まだ若く将来もあるグレイスの釈放を願っているのは、教会の関係者と、グレイスを召使いとして働かせている刑務所の所長の夫人が関係しているスピリチャル信仰者のグループ。彼女の共犯者のマックダーモントは、すでに、死刑が執行されている。彼は、グレイスにそそのかされて犯行に及んだと叫びながら首吊りの刑に。ジョーダン医師は、刑務所の所長宅で、グレイスが裁縫をする傍ら、インタビューを進めていく。グレイスは、弁護士に言われた様に自白したため、供述は、真実ではないとジョーダン医師に告げる。

グレイスは、父の起こした不祥事で、生まれ育ったアイルランドに居られなくなったため、一家で８週の船旅を経て、カナダに移住してきた過去を語り出す。この航海は、荒波に揺られ、多くの乗客が船酔いで嘔吐を繰り返し、船内環境は最悪。母は、腫瘍が出来死亡。カナダに辿り着いた一家は、酒に溺れる父親のせいで、貧困生活。おまけに父は、酒に酔った勢いでグレイスに暴力を振るい、それが性的暴力に発展しそうになり、身の危険を感じたグレイスは、奉公の仕事に出ることにする。幼い兄弟に必ず返ってくると約束してグレイスは、トロントに出発する。

ジョーダン医師は、グレイスと恋仲になる夢を見るようになる。彼の宿泊先の大家の妻は、全ての資金を持って行方不明になったアルコール中毒の旦那のせいで、ジョーダン医師に想いを寄せる。所長の娘も、インタビューの部屋に理由を作っては顔を出し、ジョーダン医師の気を引こうとする。
グレイスは、過去の話を続ける。トロント近郊のパーキンソン家の屋敷で奉公の仕事に就いた12歳のグレイスは、ネイティブアメリカンの血を引くメリー・ウィットニーと同室になり、強い友情を築いていく。彼女は、奉公の仕事で資金を貯めて、独立して結婚して自分の家を持ちたいと思っている。カナダの（英国からの）独立を支援し、グレイスに色々な事を教えサポート。お屋敷に、旅商人のジェラマヤが訪ねてくる。彼は、グレイスに辛い人生だが、その後は安泰すると手相を見て言う。その後、メリーは、様子がおかしくなり、妊娠が発覚する。相手を明かさないメリーは、お金を渡され結婚を拒まれ、中絶手術を受ける。術後の痛みで寝られないメリーを看病するグレイス。しかし、朝になり気がつくと、彼女は、死亡している。

死体を前に、グレイスは、メリーの（私を入れて。）っと言う声を聞く。メリーの血まみれの死体の処理等に、ショックを受け気を失うグレイス。気が付いたグレイスは、気がおかしくなり、（グレイスは、どこに行った？）と繰り返し叫び、気を失う事を繰り返し、周りを困惑させる。しかし、この事はグレイスは覚えておらず、彼女は、その様に記憶がなくなることが自分を不安にしているとジョーダン医師に打ち明ける。しかし、グレイスは、ジョーダン医師に全てを打ち明けてはいない。

メリーを妊娠させたパーキンソン家の息子であるジョージは、グレイスに近づいてくる。メリーを失ったグレイスに、メリーを思い起こさせる趣を持っているナンシーは、リッチモンド・ヒルの自分が務めているケニーア家の屋敷に、高賃金の転職をオファー。同僚に止められるグレイスだが、その意味が分からずオファーを受けてしまう。ケニーア氏は独身であり、ナンシー、マックダーモント、ジェイミーの3人の使用人が彼の屋敷で働いている。気性が荒いマックダーモントは、グレイスに言い寄ってくるが、グレイスは、興味を示さない。グレイスは、奉公の仕事を細かくジョーダン医師に説明。グレイスは、ナンシーとケニーア氏の微妙な関係を不思議に思う。

「またの名をグレイス」は、アメリカでもイギリスでもないヴィクトリア時代の歴史ドラマとして、他にはない面白い設定で、カナダの植民地時代が忠実に描かれているクオリティーの高いプロダクションでもあります。演者の演技も安定して素晴らしく、見応えがあるドラマシリーズです。大ヒットしている「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」と似た暗いムードの演出と、重い物語の展開でも、見ている人を飽きさせない構成になっており、イッキ見は確実です！

ジョーダン医師は、釈放を望んでいる牧師から経過を聞かれますが、まだ、答えが見つからないと答えます。彼のグレイスへの気持ちは日に日に強くなり、グレイスもまた、彼への気持ちが強くなります。
グレイスは、同じ召使いクラスであるナンシーがケニーア氏と肉体関係にある事を知り、彼女への尊敬を無くします。マックダーモントは、同じ立場てあるはずのナンシーの態度が気に入らないので、グレイスに一緒にナンシーに立ち向かおうと言います。ジェイミーは、グレイスに、大きくなってお金が貯まったら、結婚しようと言います。この様子を、全ての家の人々に監視されていたグレイスは、悲しく孤独感にかられます。

ケニーア家の悪い噂を聞いて、ジェラマヤがケニーア家に訪ねてきて、グレースに一緒に逃げようと誘います。結婚をしてくれるならと言うグレイスですが、ジェラマヤは、結婚は断ります。マックダーモントに追い出されたジェラマヤは、また、迎えに来ると言って帰っていきます。ナンシーは、妊娠の兆候が現れ彼女は、精神的に不安定に。グレイスは、ナンシーが、マックダーモントと彼女をクビにしようと思っている事を聞きます。ナンシーは、グレイスが一人語を言うのが、不気味だと言います。
ジョーダン医師は、グレイスの供述とマックダーモントの供述が違うと指摘し始めます。マックダーモントは、グレイスがなんどもケニーア氏とナンシーの殺害を持ちかけたと言っていると彼女に言いますが、グレイスはそれを否定。グレイスは、自分の話がジョーダン医師を真剣にさせている事を嬉しく感じます。