『崖の上のポニョ』潜んでいる謎の数々とトリビア
(c)2008 Studio Ghibli・NDHDMT
『崖の上のポニョ』は、スタジオジブリの宮崎駿監督が原作と脚本を手がけた長編作品で、2008年に公開されました。
あえてCGを使わずに、熟練アニメーターによる手描きで、ていねいに作られた、ジブリらしいやさしい色合いのダイナミックな映像、かわいらしい主人公「ポニョ」のキャラクター、キャッチーなテーマソングなどで大ヒットを記録。
そんな『崖の上のポニョ』は、ヒロインのポニョのかわいらしさと、主人公のそうすけが5歳の男の子であることから、子ども向けのファンタジーと思われがちですが、深い意味が隠された謎が数々あるのです。
それを知れば、『崖の上のポニョ』をちがった視点から楽しめます。
『崖の上のポニョ』英語のタイトルがやたらと長い
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スタジオジブリをはじめ、日本の長編アニメ映画作品は世界中で配給、上映されDVD化もされるほどの人気です。
『崖の上のポニョ』も、日本を舞台にしていますが、ポニョの母親のグランマンマーレはギリシャ神話の女神風であったり、世界中で読まれている「人魚姫」の物語をイメージさせるストーリーでアメリカやヨーロッパ、アジアと広く観られています。
各国語に訳されているタイトル『崖の上のポニョ』の英語版は、”Ponyo on the cliff by the sea” と長大。Cliff だけでも崖という意味なのですが、あえて「海の崖」としたのは、海の話であることを強調したかったのでしょうか。
また、あまりに長いので、DVDの販売時期によっては”Ponyo”だけの表記になっているものもある模様です。
『崖の上のポニョ』主題歌がストーリー展開を変えた
「崖の上のポニョ」発表会 「藤岡藤巻と大橋のぞみ」を笑顔で見守る宮崎駿と久石譲
「ポ~ニョポニョポニョさかなの子~」というフレーズが頭に残る、『崖の上のポニョ』の主題歌「崖の上のポニョ」の作詞は宮崎駿監督、作曲はジブリ作品の音楽でお馴染みの久石譲。
当時8歳だった人気子役の大橋のぞみと、「2人のおじさん」藤岡藤巻が歌って大ヒットしました。
映画公開の半年以上前に主題歌が発表され、この曲を聞いた宮崎監督は「この歌に負けないようなハッピーエンドに辿り着かなきゃいけないと思っています。」と語りました。
その後実際に宮崎監督は、子供たちが映画を観終わって、この曲を聴いてから外に出てもらえるよう、ジブリ初の試みとして、この歌に合う映画のストーリーを組み立てたのでした。
『崖の上のポニョ』舞台はどこ?
© 2008 二馬力・GNDHDDT
『崖の上のポニョ』の舞台となったのは、広島県の瀬戸内海にある港町「鞆の浦」です。
鞆の浦は岡山県と広島県の境に位置する福山市にあり、昔ながらの海辺の風景が残っていることから、テレビドラマやハリウッド映画のロケ地として使われています。
アニメを作る上で最も難しいといわれる「火」と「水」の、リアルな動きや色彩の表現。
スタジオジブリは『ハウルの動く城』で火の表現を追求し、その次の作品では「水」に挑戦しようという思惑がありました。
そのため、『ハウルの動く城』が完成し公開されたとたん、スタジオジブリのスタッフ総勢250人は鞆の浦を訪れ、海や古い港、街並みの取材。宮崎駿監督は波の表現を研究するために、数か月かけて滞在もしていたそうです。
『崖の上のポニョ』ネタバレあらすじ
ポニョとそうすけの出会い
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舞台は海辺の小さな町。海の真上にそびえる崖の上の一軒家に住むそうすけ(宗介)は5歳の男の子です。
ある日、そうすけは頭がビンにはさまってグッタリとしている、赤いさかなのポニョを助けます。
ポニョはクラゲに乗って家出したさかなの子でした。
そうすけとポニョは大の仲良しになりますが、海に住む科学者でポニョの父親のフジモトによって、ポニョは海に連れ戻されてしまいます。
古い魔法
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ポニョはそうすけと一緒にいたい!人間になりたい!という一心で、妹たちの協力で父の魔法を盗み出し人間に変身。
もともと海なる母グランマンマーレの娘で強い魔力を秘めていたポニョは、すさまじい嵐を起こし、津波に乗ってそうすけの前に現れます。
飛んで抱きついてきた女の子が「魚のポニョだ」と、そうすけはすぐに見抜き、ふたりは再会を喜び合うのでした。
しかし、ポニョが使った魔法により、"世界に大穴を開けた"このままでは世界が破滅するとフジモトが怯え、グランマンマーレが「古い魔法」でポニョを人間にすることで、魔法を消すことを提案します。
この古い魔法は、おとぎ話「人魚姫」と同様、人間になれる代わりに、愛する人に愛されなければ海の泡となってしまうというもので、そうすけのポニョへの気持ちが問われるのでした。
『崖の上のポニョ』登場人物と声のキャスト
『崖の上のポニョ』初日舞台挨拶および記者会見に出席した監督と声優陣。(後列左から)所ジョージ、天海祐希、宮崎駿監督、山口智子、長嶋一茂、柊瑠美、(前列左から)奈良柚莉愛、土井洋輝
『崖の上のポニョ』の登場人物は主人公のそうすけとヒロインのポニョ、それぞれの両親や、そうすけが通う保育園と母リサがつとめるデイケアサービスセンターのひとびと、ポニョの父親のフジモトをはじめ、ファンタジーを盛り上げる、ちょっとユニークで心やさしい人物ばかりです。
■主人公・ポニョ/ならゆりあ
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ヒロインのポニョは、人間と海の女神の間に生まれたさかなの子。
海の外の世界に興味をもち家出をして、空きビンに頭がハマって困っていたところを、そうすけに助けられ見た目から「ポニョ」と名付けられて、仲良くなるのです。
ハムが大好物で、片言ながら人間の言葉を話せます。
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ポニョの声を担当した当時9歳だった、ならゆりあ(奈良 柚莉愛)は、テレビアニメの声優、ドラマ、バラエティ番組、ミュージカルでも活躍していました。
お気に入りのセリフは「ポニョ、宗介好き!」です。