『この世界の片隅に』は漫画原作の大ヒットアニメ映画!
『この世界の片隅に』(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の片隅に』は、広島県出身の漫画家、こうの史代の同名漫画が原作の、長編アニメーション映画。2016年に公開された本作は、戦時中の波乱の時代を生き抜こうと奮闘する人々の姿を描いた作品です。興行収入は27億円にも上り、さらにイギリスやフランス、メキシコを含む世界60か国以上の国でも上映され、多大な評価を集めました。
第40回日本アカデミー賞では、最優秀アニメーション作品賞を受賞、そのほかアヌシー国際アニメーション映画祭を始めとする名誉ある賞を60以上受賞するという驚異的な記録を打ち出しました。
『この世界の片隅に』のあらすじ
「#(ハッシュタグ)あちこちのすずさん~戦争中の暮らしの記憶~(仮)」 (C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
主人公のすずは、絵が大好きな心優しい少女。ある日、すずの元へ北條周作という青年と、彼の父親がやって来ます。周作は、広島県呉市の海軍兵。幼い頃に広島にいた際に、すずと会ったことがあり、すずに一目惚れをしたといい結婚を申し込みます。気乗りしないすずでしたが、周りにすすめられて、北條家に嫁ぐことを決意しました。
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
慣れ親しんだ広島市から、呉市にある北條家に嫁いだすず。周作の父親や母親とも良好な関係を築き、平穏な日々を送っていたところ、周作の姉である径子が娘の晴美とともに帰って来ます。
嫁ぎ先で上手くいかなかったという径子は、不器用でおっとりした性格のすずを嫌いますが、娘の晴美はすずに懐いていました。すずは、晴美と一緒にささやかながらも幸せな時間を過ごしていましたが、戦争の火種がすずたちを襲います…。
『この世界の片隅に』の人気の理由を解説・考察!
(拡大)『この世界の片隅に』-(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
日本アカデミー賞や、フランスの名誉ある映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭を含む60以上の受賞を誇った『この世界の片隅に』。本作がここまでヒットした理由とは、一体何なのでしょうか?ここでは、『この世界の片隅に』がヒットした理由を解説・考察していきます!
■人気の理由①実話と勘違いしてしまうほどのリアリティ
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
戦時中の広島が舞台の本作。戦時中の日本の状況や、当時の暮らしがリアルに描写されているため、「これは実話なのでは?」と疑問を抱く人も多いです。しかし、本作のストーリー自体はフィクションであり、主人公すずや周作などのキャラクターたちも、実在する人物ではありません。
ただ、原作者のこうの史代は、厳重な調査・取材のもと、本作の執筆に取り組んだと語っています。おそらく、取材の実話をのとにしたエピソードもあるでしょう。また、 本作で監督を務めた片渕須直は、舞台となった広島県呉市に何度も足を運び、緻密な取材を行い、さらに当時の日本の気候や店の風景、爆弾などの写真を集めたといいます。こうした徹底した取材が功を奏し、リアリティあふれる作品となりました。
■人気の理由②製作資金をクラウドファンディングで調達して話題に
今でこそ大ヒットとなった『この世界の片隅に』ですが、製作開始当時は「ヒットの要素がない」「地味」という理由から、スポンサーがつかず、製作資金が集まらないという事態に直面していました。そこで、本作のプロデューサーである真木太郎がクラウドファンディングを行い、製作支援金を集めるという前代未聞の調達法を開始します。
情報はSNSを中心にすぐさま広がり、最終的に3900万円という大金が集まりました。こうした取り組むが、アニメファンならず、アニメを観ない人からも注目を集め、ヒットにつながったのでしょう。
■人気の理由③朝ドラのようなほんわかした雰囲気
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の片隅に』は、ただ単に「戦争のむごさを嘆く」という内容ではありません。戦時中という、厳しい時代のなかで、ささやかな幸せを見つけて生きる人々の姿が描かれているのです。食材の調達に悩んだすずが、食べられる雑草を近所の人から教えてもらい、工夫を凝らして調理するシーンは見どころです。
また、キャラクターたちのちょっとした日常会話には、人間味があふれており、観ているとほっこりします。戦争をテーマにした作品ながらも、まるで「朝ドラ」のようなほんわかした雰囲気があるのが本作の魅力です。
■人気の理由④最近のアニメーションでは珍しい手の込んだ作画手法
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の片隅に』では、登場人物の動作にリアリティと生活感を表すために、最近のアニメーションとは違った手法を用いています。中割を増やし、何枚もの静止画をつなぎ合わせて、より人物の動作を滑らかにしているのです。
最近のアニメでは、静止画の枚数を最小限に抑えた手法(話す場面では口だけが動くだけ、といった簡略化された手法)が用いられていますが、本作はあえて手間のかかる手法を用いて、生活感ある動きを表現しました。絵本のような温かみのある絵柄も相まって、製作者の情熱と愛情が伝わってきます。
■人気の理由⑤周作と哲とすずの甘酸っぱい恋模様
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
あまり知られていませんが、『この世界の片隅に』では、すずを取り巻く恋模様も魅力のひとつです。すずは周作の妻となりますが、最初の時点では、周作への恋心はあまりありませんでした。どちらかといえば、気持ちは幼なじみの哲の方へ向いていたように見えます。しかし、一緒に生活していくにつれ、周作と愛情を育むようなります。
一方で、哲と再会したすずは、再び心が揺れ動く場面も…。すずの恋心の行方や、すずが少女から「大人の女性」へと変わっていく様子も見どころです。思わずドキッとしてしまうような、ロマンチックなキスシーンにも注目!
『この世界の片隅に』の登場人物と声優陣を紹介!
『この世界の片隅に』(C) こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の片隅に』では、あの有名芸能人から人気声優まで、映画界を支えるキャスト陣がキャラクターに命を吹き込んでいます。ここでは『この世界の片隅に』の登場人物や声優陣をまとめてご紹介します!