祝・アカデミー賞受賞!映画『パラサイト 半地下の家族』の魅力
『パラサイト 半地下の家族』(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
日本で2019年1月に公開された韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。『グエムル-漢江の怪物-』、『母なる証明』を手掛けた韓国を代表とする名監督、ポン・ジュノがメガホンをとった本作は、韓国で社会問題化している「格差社会」というテーマ描きつつ、サスペンス、ブラックコメディ、ヒューマンドラマなどの「ジャンルを超えた傑作」として世界各国で称賛の嵐を巻き起こしています。第72回カンヌ国際映画祭では、最高賞の「パルムドール賞」、そして第92回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門で受賞を果たしました。
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有力候補だった『ジョーカー』、『1917 命をかけた伝令』を追い抜き、見事に作品賞を受賞した本作は、アジア映画において初めてアカデミー賞の作品賞を受賞した革命的な映画。本編の所々に散りばめられた緻密な「伏線」や「テーマ性」が話題を呼び、日本でも映画ファンによる考察が白熱しています。また、本作はポン・ジュノ監督自らより観客へ「(これから見る人のために)ネタバレはしないでください」という「お願い」がされるほど、衝撃的な結末となっています。

映画『ジョーカー』のネタバレあらすじ解説!ラストシーンの意味を考察
https://pickup.cinemacafe.net/articles/2659「バットマン」シリーズの宿敵・ジョーカーが誕生するまでの過程を描いた映画『ジョーカー』。本作はホアキン・フェニックスによる名演技だけでなく、作中にちりばめられた「謎」に注目が集まっています。今回は『ジョーカー』のネタバレあらすじと、ラストシーンの意味を考察して解説します。
映画『パラサイト 半地下の家族』ネタバレあらすじ!衝撃のラストまで詳しく解説
ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』国内最速試写会にサプライズ登壇
アジア映画界において新たな伝説を築いた映画『パラサイト 半地下の家族』。アメリカでドラマ化も決定しているほど、世界各国から注目を浴びている本作の大きな魅力は、「予想不可能なストーリー」です。今回は、すでに本作を見た人の「復習」として、ネタバレあらすじを解説します。まだ映画を見ていない人は要注意ですよ!
■①半地下の家族に舞い込んだチャンス
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舞台は韓国のとある貧困地域。事業に失敗した父親キム・ギテク、元ハンマー投げ選手の口うるさい母親チュンスク、頭はよいものの大学受験に落ち続けている息子ギウ、そして美術センスがありながらもお金がなく美術大学に通えない娘ギジョンの「キム家」は、薄暗い半地下のマンションの一室で細々と生活していました。家族全員が失業中で、何とか内職で小銭を稼ぎますが、家族4人が生きていくにはお金が足りません。
通行人から家の外で用を足され、お金がないためWi-Fiにパスワードを設定していない店から隠れてWi-Fiを使う貧しく不便な日々。ある日、名門大学に通うギウの友人ミニョクが一家を訪れ、金運アップの効果があるといわれる岩「山水景石」を差し入れます。
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それだけでなく、ミニョクはギウに「自分が海外留学している間、IT企業の社長令嬢の女子高生ダヘの家庭教師をやってくれないか」という高給与のバイトを紹介してくれました。ミニョクはダヘに好意を抱いており、彼女が大学へ進学したら交際する予定であること、そしてギウを信頼していることを打ち明けます。
大学受験に失敗し続けている手前、断ろうか迷ったギウでしたが、貧困に苦しんでいる彼は最終的に家庭教師のバイトを引き受けました。
■②セレブ一家「パク家」をだませ
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その後、美術大学志望の妹ギジョンに名門大学の在籍証明書をパソコンで偽装してもらったギウは、高級住宅区域の高台にあるパク家を訪れます。パク家は、IT企業の社長である父親ドンイクと、家事が一切できないアメリカかぶれの美人な母親ヨンギョ、大学受験を控えた女子高生のダヘ、そしてインディアンにハマっている小学生の息子ダソンの4人家族。
ギウは、家政婦のムングァンに家の中へと案内されたのち、ヨンギョに見守られながらダヘに勉強を教えることに。まるで本物のエリート学生のように堂々たる態度で授業を終えたギウは、ヨンギョに気に入られ、見事正式な家庭教師として採用されました。
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パク家の壁に飾られていることに気付いたギウ。ヨンギョは、絵を描いたのは小学生の息子ダソンで、今彼の美術家庭教師を探していることをギウに伝えます。その後ギウは、妹のギジョンを「アメリカで美術を学んだ芸術療法士」としてパク家に連れてきます。アメリカかぶれのヨンギョはギジョンに好印象を抱きます。
ギジョンはダソンの絵を称賛し、さらにインターネットで調べた専門用語をまくしたてヨンギョの信頼を勝ち取り、正式な家庭教師として採用されました。順調に事が進む中、ある日パク家の主人であるドンイクが家に帰宅し、家庭教師の仕事を終えたギジョンを家まで送るよう、専属の運転手に命じます。車に乗ったギジョンですが、身元がバレてしまうのを恐れ、家に着く前に車を降りました。その際、自分の下着をこっそり助手席のシートに入れます。
■③パラサイトに成功していく半地下家族
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後日ドンイクは車で下着を見つけると、運転手が車内で性行為をしたと推測し、彼を解雇します。新しい運転手を探すドンイクたちに、ギジョンは自分の父ギテクを「親戚の凄腕運転手」として紹介。もともとタクシー運転手の経験があるギテクは上手く取り繕い、パク家から正式に採用されます。
こうしてギテク、ギウ、ギジョンの3人がパク家に「パラサイト」することに成功し、残すは母親のチュンスクだけとなりました。ギテクたちは協力して、桃アレルギーの家政婦のムングァンに桃の皮の産毛を浴びせて咳き込ませ、さらに偽物の血が付いたティッシュをヨンギョに見せ、ムングァンが結核であると信じ込ませます。キム一家の思惑通り、ムングァンは解雇され、チュンスクを新しい家政婦として紹介しました。
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こうしてキム家の4人全員がパク家に「パラサイト」することに成功。ドンイクもヨンギョもダヘも4人が家族であることや、身分を隠していることに気付きません。しかし、小学生のダソンだけは、4人が同じ「におい」であることを不思議に思うのでした。
■④大雨の日に起きた大事件
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ダソンの誕生日、パク家は家事をチュンスクに頼み、キャンプ旅行へと出かけていきます。その間、キム家の4人は豪邸内での生活を満喫します。家の中にあった高級な酒を飲み、楽しいひと時を過ごすキム家。ギウは、ダヘと恋愛関係にあること、そしていつか結婚するという願望を語ります。そんな中、突然家のインターホンが鳴りました。チュンスク以外の3人は慌てて身を隠し、チュンスクだけが出ます。そこには、解雇された家政婦のムングァンがいました。
『パラサイト 半地下の家族』(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
ムングァンは大雨でずぶ濡れになりながら「忘れ物を取りに来た。家に入れてほしい」と懇願します。チュンスンは仕方なくムングァンを家に入れたところ、ムングァンは地下への隠し扉を開き、地下へと進んでいきます。
何と地下には、ムングァンの夫であるグンセが住んでいたのです。実は、この豪邸は前の持ち主だった有名建築家が作った家で、北朝鮮からの爆撃対策として地下にシェルターがあったのです。後に家の持ち主となったパク家が地下室の存在を知らないことをいいことに、ムングァンは一家に隠れて借金取りに追われている夫のグンセを隠して住まわせていたのでした。