2020年 ポン・ジュノ 韓国初の監督賞
受賞作品『パラサイト 半地下家族』
ポン・ジュノ監督『パラサイト』国際長編映画賞/第92回アカデミー賞授賞式 (C) Getty Images
第92回アカデミー賞監督賞を受賞したのは、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』を手掛けたポン・ジュノ監督です。アカデミー賞の監督賞で初ノミネートされ、見事に監督賞を輝きました。韓国人の映画監督として、初めて同賞を手にする快挙を達成。
『パラサイト 半地下の家族』舞台挨拶
ポン・ジュノは韓国出身の映画監督、脚本家です。延世大学社会学科を卒業後、韓国映画アカデミーを入学し、1995年に卒業。作業作品の『支離滅裂』はバンクーバー国際映画祭や香港国際映画祭に招待され、注目されました。2000年に映画『ほえる犬は噛まない』を初めてメガホンを取り、その後は『殺人の追憶』(2003)や『グエムル 漢江の怪物』(2006)や『母なる証明』など数々の話題作を手掛けました。2008年、初めて海外を進出し、フランス・日本・ドイツ・韓国合作のオムニバス映画『TOKYO!』を手掛け、2013年に『スノーピアサー』で正式にハリウッド進出。
『パラサイト 半地下の家族』(C) 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
今回の受賞作品となった『パラサイト 半地下家族』は彼自身の経験を活かして制作した映画。ポン・ジュノ監督は若い頃に、富裕家庭で家庭教師を務めたことがありました。その経験から、家族の絆と韓国の貧富差を題材にした脚本制作を強く願って、オリジナル脚本を制作・監督しました。
「さきほど国際長編映画賞を受賞して今日の仕事は終わったなと思いました」とユーモアたっぷりに語ったポン・ジュノ監督。
「映画を勉強していた若い頃、最も印象に残ったのは「個人的なことこそが、もっとクリエイティブなことだ」という言葉でした。その言葉は、偉大なるマーティン・スコセッシによるものでした。わたしはスコセッシ監督の作品で、映画を学んだのです。ですから、こうして候補者として名前が並んだことだけで光栄です」と語ると、会場はスタンディング・オベーションとなり、マーティン・スコセッシ監督に向けて拍手が沸き起こった。さらに、ポン監督は「私の映画をアメリカの人が知らなかったときに、私の作品をいつもリストにあげてくれたクエンティン・タランティーノ監督ありがとうございます。愛しています。もちろん、トッド・フィリップス、サム・メンデスもすばらしい監督ですし、アカデミー協会が認めてくれるなら、このオスカー像を5つに分けたいと思うほど。」と感謝を述べた。

今さら聞けない?映画『パラサイト 半地下の家族』伏線15連発&ネタバレあらすじ
https://pickup.cinemacafe.net/articles/26932020年のアカデミー賞で最多賞を獲得した映画『パラサイト』の物語の魅力やネタバレあらすじ、出演キャストを徹底解説!今さら聞けない「石」「線」「時計回り」といった伏線15個もまとめて考察します。パラサイトをじっくり考察したい人は要チェックですよ!
2019年 アルフォンソ・キュアロン 2度目の監督賞
受賞作品『ROMA/ローマ』
アルフォンソ・キュアロン監督 (C) Getty Images
第91回アカデミー賞監督賞を受賞したのは、『ROMA/ローマ』を手掛けたメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン・オロスコ監督。キュアロンの同賞受賞は『ゼロ・グラビティ』以来2度目となります。
『ROMA』メイキングカット (C) Netflix
アルフォンソ監督の父親は国際原子力機関の原子物理学者のアルフレッド・キュアロン、弟・カルロスは同じく映画監督、三男のアルフレッドは生物学者で、超エリート家庭に誕生。メキシコ国立自治大学で哲学と映画を学んでいたアルフォンソは、そこで後に全作品でタッグを組むこととなる撮影担当のエマニュエル・ルベツキと出会いました。初めての映画作品『最も危険な愛し方』がトロント国際映画祭に出品され、以降アメリカに監督進出を果たしました。以降、ハリウッドで大活躍し、名作の『リトル・プリンセス』や『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』や『ゼロ・グラビティ』などを次々と監督務めました。
『ROMA/ローマ』Blu-rayリリース(C)2018 Espectaculos Filmicos El Coyul, S. De R.L. De C.V. All rights reserved.
1970年代のメキシコ・ローマ地区を舞台に、中産階級の家庭の家政婦として働く若い女性クレオの視点から、激動の1年の出来事を美しいモノクロ映像で描いた半自伝的なヒューマンドラマ。
「みなさんのおかげで、現地の女性たちに焦点を当てたこの映画が成功しました。約7000万人の女性たちが、移民として働いていますが、過去に映画で描かれたとしても、背景でしかなく、主役ではありませんでした。私たちの責任は、ますます重要になっていますし、目をそらしてはいけない時代なのです。心から家族、そしてメキシコに感謝します。」

アルフォンソ・キュアロン監督映画5選!第76回GG賞受賞で大注目!
https://pickup.cinemacafe.net/articles/2304今年のゴールデングローブ賞はもうチェックしましたか?アルフォンソ・キュアロン監督が『ROMA/ローマ』で監督賞&外国語映画賞をW受賞しましたね。そこで過去の受賞歴も含めて今、映画業界で大注目の彼が手掛けてきた作品を紹介していこうと思います。タイムリーなので、是非読んでみてくださいね!
2018年 ギレルモ・デル・トロ 受賞まで25年間もかかった
受賞作品『シェイプ・オブ・ウォーター』
ギレルモ・デル・トロ-(C)Getty Images
第90回アカデミー賞監督賞を受賞したのは、原案・脚本から手がけたファンタジックなラブストーリー『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督。
ギレルモ・デル・トロ監督&菊地凛子/『シェイプ・オブ・ウォーター』来日会見
メキシコ出身、宮崎駿ファンで知られるデル・トロ監督は「トトロ」というあだ名を持ち、大の親日家。この名前の由来は、『パシフィック・リム』の撮影中に9歳の芦田愛菜はうまく「デル・トロ」を発音できなくて、「トトロで呼んでいいよ」とデル・トロ監督が優しく提案しました。また、菊池凛子が過酷な撮影で疲れた際、デル・トロ監督が日本語で「となりのトトロ」の唄を歌ってくれたほっこりエピソードがありました。
『シェイプ・オブ・ウォーター』 (C)2017 Twentieth Century Fox
1962年、アメリカとソビエトの冷戦時代、清掃員として政府の極秘研究所に勤めるイライザは孤独な生活を送っていました。ある日、同僚のゼルダと一緒に極秘の実験を見てしまったことで、彼女の生活は一変。人間ではない不思議な生き物との言葉を超えた愛。それを支える優しい隣人らの助けを借りてイライザと“彼”の愛はどこへ向かうのか…。