映画『メメント』タイトルの意味解説
Orchid, 1988 Gelatin Silver Print (C) Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
メメントとはラテン語のMemento。「記憶しろ」という意味だ。
また「形見」「思い出」という意味もある。
最愛の妻を亡くし、自らの記憶を10分以上保てなくなった男の物語である今作『メメント』のタイトルとしてなかなか印象的な言葉。
映画『メメント』原作はあるの?
Watermelon with Knife, 1985 Gelatin Silver Print (C) Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
クリストファー・ノーラン監督の弟であるジョナサン・ノーランが書いた短編「Memento Mori」という作品が原作。
Memento Moriとは英訳すると"remember to die"
「(やがて訪れる)死を忘れるな」という警鐘を鳴らす言葉となっている。
物語の最後から始まりに向けて時系列が逆転していく形式で妻を殺した殺人犯を追う男の物語が語られていくこの作品を兄クリストファーが気に入り2000年に映画化した。
ネタバレあり!カラーとモノクロのシーンが交差する映画『メメント』の時系列を整理したあらすじ
■平凡な保険調査員とその妻を襲った突然の悲劇
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ある日レナードは2人組の強盗に愛する妻を乱暴されたうえに殺されてしまう。
強盗の1人は拳銃で仕留めたものの、もうひとりはレナードの頭を強く壁に打ち付け逃走した。
命は取り留めたものの、襲われた時の怪我が元でレナードは新しい記憶を10分間しか保てなくなる。
『メメント』 (C) APOLLO
それでも妻の復讐を果たすべく犯人を探し始めるレナード。
忘れる前に残すポラロイドカメラ写真と記録を残したメモだけが事故後の彼の記憶だ。
祖父の日記帳と私のビデオノート 2枚目の写真・画像
■10分でリセットされる記憶であつめた手がかり、犯人は「ジョン・G」
Ken Moody and Robert Sherman, 1984 Gelatin Silver Print (C) Robert Mapplethorpe Foundation. Used by permission.
調査を進めながら何度も記憶が不確かになるレナード。左手の刺青を見ては同じ症状をもつ男・サミーを思い出し自分の正気を保とうとする。
かつて保険会社に努めていた時の顧客だったサミーは事故で記憶が2分間しか保てない男だった。糖尿病の妻がいたが記憶障害のせいで妻に何度もインシュリンを注射して死なせてしまった哀れな男…
記録を残す習慣を身に着け、失った記憶を補える自分はあいつとは違う。そう自身に言い聞かせるレナード。
〈日記〉より 1961-64 年 Photo: Kioku Keizo
大事な手がかりを得てはポラロイド写真を撮り、記録し、重要項目は刺青として自分の体に刻むレナード。
「犯人は白人男性」「名前はジョン・G」「麻薬の売人」。
胸には「妻はレイプされて殺された。復讐しろ」というメッセージをはじめ多くのメッセージが刺青されている。
レナードは集めた手がかりを元に、行く先々に親しげな笑顔で現れる神出鬼没な男・情報屋を名乗るテディの協力を得て妻殺しの犯人探しを進めていく。
『メメント』 (C) APOLLO
真犯人「ジョン・G」として麻薬の売人ジミーを探し当てたとテディに促されるまま、レナードはジミーが待つという郊外の小屋に1人向かい復讐を果たす。
血で汚れた衣服をジミーのものと交換し、ジミーの遺体をポラロイドに収めるレナード。
小屋の地下で交わしたジミーとの会話からジミーは自分の記憶障害やサミーの名前を知っており、何かがおかしいことに気づくレナードはジミーを殺害した後追って地下室にやってきたテディにレナードは怒りながら詰め寄る。
■テディが明かすこの復讐劇の恐ろしい真相
『ポラロイド』(C)2019 DPC SUB 1A1, LLC
レナードに詰め寄られ真実を告げるテディ。
彼はレナードが襲われた事件の担当刑事であり、レナードに同情した彼は協力し一緒に真犯人を追い詰め殺害したという。
テディの本名はジョン・ギャメル。テディは捜査時に使う愛称だ。
テディの協力のおかげでレナードは真犯人を殺し、復讐を果たした記念に血まみれの笑顔で写真撮影までしていたと写真を見せられる。1年前、既に復讐は果たされていたのだった。
その後レナードは自ら大事なメモを捨てることで謎を生み出し、全てを忘れ再び「ジョン・G」を探し始めたのだと言うテディ。
須田悦弘 《バラ》 2008年(参考作品)
テディはレナードがいつも思い返していたサミーの話も実はレナード自身が妻を死なせてしまった思い出をすり替えていただけだったことを話す。
記憶を無くす後遺症を持つ夫に疲れた妻に請われるままインシュリンを何度も注射し妻を殺してしまったのはサミーではなく、記憶を失ったレナード自身だった…
ジミーの運んで来た金は麻薬取引の為のもので、このまま金を奪うつもりであることを話すテディ。
「お前にも分け前はやるさ。」
写真家ロバート・メイプルソープの展覧会開催。カラーを含む貴重な花の作品100余点を展示
自分はずっとテディが選んだ名前が「ジョン・G」の男を探し出しては殺害する事を何度も繰り返させられていた。利用されていたショックと怒りを覚えたレナードはテディを次のターゲットにすることを決めた。
記憶を失った後、残した手がかりを見れば自分はきっとまた「ジョン・G」を探し始めるのだから。
レナードは殺したジミーの車に乗り込む。
テディのポラロイド写真に「奴の嘘を信じるな」というメモを書いてポケットにしまい、血まみれの自分が写った写真と撮影したジミーの写真を燃やし、レナードは書き取ったテディの車のナンバー「SG137IU」を刺青として残すべくそのままテディを置き去りにして車で走り去るのだった。
■新たな「ジョン・G」を探して
『メメント』 (C) APOLLO
ジミーから奪った車に残ったコースターにあったメッセージ「後で来て ナタリー」というメモを見てバーへ行くレナード。
バーの店員ナタリーは恋人が消えたせいで麻薬の売人トッドから脅されていると話す。
レナードの記憶障害をバーで確認したナタリーは彼を利用し、偽りの情報を与えて麻薬の売人トッドとのトラブルを解決する。
助けてくれた代わりに自分も協力をすると話すナタリー。
しかしナタリーの部屋にあった恋人の写真、そこに写っていたのはレナードが殺害したジミーだった。
ジミーはテディと出かけて戻らなかったと話すナタリー。
彼女が偽りの情報を与えていることも知らず、自分が彼女の恋人を殺したことも覚えていないままレナードは彼女の写真に「彼女は協力者」であることをメモする。