<映画『スタンド・バイ・ミー』の魅力・あらすじ>
『スタンド・バイ・ミー』-(C) 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
映画公開から34年経つ今も "聖地巡礼" する映画ファンが後を絶たないほど愛され、多くの人の心に深く根付く作品としてリバイバル上映され続けている名作『スタンド・バイ・ミー』。
多感な12歳の少年4人が体験する "子供時代最後の冒険" を通して深く共感するノスタルジー、子供時代だから築けた "友情物語" と大人になる怖さが、美しいオレゴンの情景やベン・E・キングの名曲と共に染み入ります。
オレゴンの小さな町キャッスルロックが全世界だったのに、冒険後には小さな町に見えた子供たち。
純粋な瞳の彼らからは沢山の "名ゼリフ" も飛び出し、ちょっとした出来事が涙を誘います。
自分が成長する度にふと観たくなる、大きな魅力が詰まった作品です。
町で噂になってる行方不明者の死体を発見し、雑誌・TV番組で引っ張りだこの "ヒーロー" になる事を夢見た4人が奏でる "死体探し" の大冒険!
子供時代と訣別する為、大人への線路をひたすらに歩いた少年たちが見つけたものは...!?
忘れがちなピュアな心の叫びをガツン!と感じられるのが『スタンド・バイ・ミー』なのです。
<映画『スタンド・バイ・ミー』主人公4人の名ゼリフ>
■「父さんを馬鹿にしたら殺す!」(テディの言葉)
冒険の途中、お腹がすいた4人はコインを出し合って食料を買いに行くことに。
売店に行くには高いフェンスを乗り越え、番犬から身を守らなければならないので必死です!
しかし、思いのほか楽勝!で戻ってきた少年たちに噛みついてきたのは番犬じゃなくて、フェンス越しのオーナーでした。
オーナーは「お前らを知ってる」と怒鳴り、戦場のPTSDで社会不適合者となったテディの父親を侮辱し始めました。
向かってくる列車の前で度胸試しするほど(↑)威勢のいいテディから表情が消え、一言。
「(父は)ノルマンディの勇士だぞ!父さんを馬鹿にしたら殺す!」
"強気" しかなかったテディが道々ずっとうつむき、涙をぬぐい続ける姿がたまりません。
父親はPTSDで無茶苦茶でしたが、父を愛する心だけが彼を支えてきたのでしょう。
■「君の親がやらないなら、おれが守ってやる!」(クリスの言葉)
『スタンド・バイ・ミー』-(C) 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
悪ガキ4人組の中で、クリス&ゴーディは "内緒の親交" を深め合うことが出来る間柄。
表面的には落ち着いていてポーカーフェイスだったりしますが、それは劣等感の裏返しで本当は女々しいところもあるし、泣き続けて眠れない夜もあるのです。
ゴーディは家庭内で疎外感を感じながら暮らしています。
それは亡き兄デニーが優等生であり町のヒーローだったから。
気の弱さも相まって、自身が持っている文章を書く才能や学力まで取るに足らないと決めつけます。
そんな時にクリスが発した一言。
「君の親がやらないなら、おれが守ってやる!」
同い年の親友に向け、小学生のクリスが放った力強い一言です。
■「中学の準備は?もう君ともお別れだな ー 君は頭のいい友だちができるさ」(クリスの言葉)
一見突き放した言い方に見えますが、思いやりのこもった一言です。
自分やテディ、バーンと違ってゴーディは進学組となるので、この旅が終わればバラバラの人生を送る...という事を子供なりに考えてます。
クリスはちょっぴり大人びてて、ゴーディが進むべき道、ゴーディが持つ才能の大きさを認めたうえで語り掛ける。
仲間のリーダーとして、ゴーディの親友として、もしかしたらゴーディの父親代わりとして、優しく諭す表情に(ジーーーーン。)ときてしまいます。
「君はきっと大作家になるよ。書く材料に困ったら、ぼくらの事を書け。」と続きます。
■「食後の一服は最高だね!」(バーンの言葉)
「Back To The Theater」2014年第1弾作品『スタンド・バイ・ミー』 -(C) 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
「食後の一服は最高だね!」は、キャンプファイアー中クリスから貰ったタバコを吹かした時のバーンの一言。
大人がこれを言うのを見て、憧れていたのでしょう。
続けてテディも「この一服がたまらん。」とつぶやくので、思わず吹き出すクリス。
無邪気に大人ぶる2人を見て、(お父さんのウィンストンをくすねてきて良かった)とほほ笑む姿が微笑ましいです。
■「マイティ・マウスはスーパーマンに勝つね!」(バーンの言葉)
冒険の後、"ヒーロー" になった自分たちが記者会見に使うだろうとヘアブラシを持参してくるくらい無邪気で可愛いバーン。(川底に落としちゃうシチュエーションが顛末を予測させます)
道中も、将来の話をするクリス&ゴーディをよそにコミックヒーローに夢中。
「マイティ・マウスはスーパーマンに勝つね!」とテディに話を振り、マイティ・マウスの戦闘能力について力説します。
「マイティ・マウスは漫画だろ?スーパーマンは本物だ!」と言われてあっさり玉砕してしまいますが、実際どちらも本物じゃないところが素敵です。
この無邪気さがまた、ノスタルジー心をくすぐります。
■「やめろ!...ぼくは帰らない!」(ゴーディの言葉)
普段大人しい人が怒ると誰よりも怖い...というのはアメリカでも同じですね。
気弱で、声を荒げたことがないゴーディが大声で「やめろ!」と叫んでみんな静まり返ってしまいます。
有名な "ヒルまみれ" のシーンです。
近道をする為にやむなく沼を通り、陸に上がるとみんなヒルまみれで大騒ぎ!
ゴーディは "大事なところ" を血まみれにされ、失神してしまいます。
もう帰ろう...という皆の雰囲気を遮るように「やめろ!...ぼくは帰らない!」と啖呵を切ります。
自分の事件がもとで、自分の気弱さが原因で道が閉ざされるなんて、我慢できなかったのです。
この時、ゴーディは "自分の殻" を破りました。(女子でいう "初潮" でしょうか。)
■「動くな!本当に殺すぞ!ぼくをナメるな。チンピラ野郎。」(ゴーディの言葉)
ストーリー後半、やっと見つけた死体をエースに横取りされそうになり、それを制止するクリスがナイフを突きつけられます。
殺される...という危機一髪にビクともせず立ちはだかるクリスを、今度は "殻を破った" ゴーディが助けます。
(自分だって大切な人を守れる!)という強い眼差しで銃を構え放った一言。
「動くな!本当に殺すぞ!ぼくをナメるな。チンピラ野郎。」
静かに眼光鋭く向き合うゴーディに、さすがのエースもたじろぎます。
見せかけの強さでは太刀打ちできない迫力です。
「この落とし前は、絶対つけてやるからな。」というエースの捨て台詞がむなしい...。
これまでの "弱虫ゴーディ" はもうここにはいませんでした。
■「あの12歳の時のような友達は もう出来ない。」(大人のゴーディ)
物語のエンディングで、小説家になった大人のゴーディが回想録で書き綴った名言です。
死体を発見した12歳に大人への階段を上り、たった今クリスの死亡記事を読みながら子供時代を振り返るゴーディ。
「生きるとは死に向かうことなり」と売店の店主が言った通り、生きるとは死を意識する事なのかもしれません。
「(仲間たちとは)学校で顔を合わせるだけの付き合いに。よくあることだ。」
と綴ってますが、長い人生で何度だってある事です。
でも子供時代の友情は純粋でしたし、思い返すと癒されたりしますね。