『秒速5センチメートル』とは?
「秒速5センチメートル」作中画像(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
『秒速5センチメートル』とは、2007年公開の長編アニメーション映画。男女の美しくて切ない恋模様を全3話の短編で描いたラブストーリーです。また、山崎まさよしさんの代表曲で本作のテーマソングでもある「One more time, One more chance」のメロディが見事にマッチした作品でもあります。キャッチコピーは「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」親の事情で離ればなれとなった2人の切なくて甘酢っぽい物語に注目です。
『秒速5センチメートル』あらすじ・ネタバレ・結末
■第1話「桜花抄」
『秒速5センチメートル』(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
貴樹との下校途中、踏み切りで桜の花の落ちるスピードが秒速5センチメートルだと話す明里。東京へ引っ越してきた転校生同士の2人はすぐに仲良くなり,いつも一緒にいました。しかし、小学校の卒業と同時に明里が栃木へ引っ越してしまいます。
中学生となった2人は文通で連絡を取り合うことに。そんな中、今度は貴樹が鹿児島へ転校する事が決まります。電車で会えないほどの距離にまで離れてしまうことに寂しさを感じる明里。貴樹は栃木までの行き方を調べ、3月3日の19時に明里と会う約束をします。
3月3日、その日は昼から雪が降っていました。学校が終わった貴樹は電車に乗り込み、電車の中で栃木に転校すると泣きそうな声で謝る明里との電話を思い出します。何度も乗り越えを繰り返す貴樹でしたが、雪のため遅延してなかなか先へは進めません。降雪によるダイヤの乱れで電車は止まり、約束の時間は過ぎてしまいます。
23時を過ぎた頃、待ち合わせの駅についた貴樹。帰らず待ち続けた明里は彼の姿を見て泣いてしまいます。2人は雪の降りしきる中、桜の木の下でキスして、畑の小さな納屋で朝を迎えます。電車が動き始めた頃、貴樹は東京へ帰ることに。2人はお互いに書いた手紙を渡せませんでした。
■第2話「コスモナウト」
「秒速5センチメートル」作中画像(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
種子島の高校に通う貴樹は弓道部に所属。そんな貴樹に想いを寄せる花苗は趣味のサーフィンに夢中で進路のことを考えていませんでした。そんなある日、土手でメールを打つ貴樹を見つける花苗。2人の前をNASDAのロケットを載せた荷台が通り過ぎ、花苗はその時速が五キロだと言います。
サーフィンがうまくいっていなかった花苗は、半年ぶりに波に乗れます。自信をつけた花苗は貴樹に告白しようとしますが、ただの友人として優しく接する貴樹に涙してしまいます。「貴樹は私を見てない」そのことに気付いた花苗は想いを伝えることもできず、遠くを見つめる彼をただ静かに見つめていました。
■第3話「秒速5センチメートル」
『秒速5センチメートル』(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
数年後、春の東京。社会人となった貴樹には、三年の付き合いになる彼女がいました。しかし、彼女から「1000回メールしても心は一センチしか近づかなかった」と別れを告げられます。
とにかく前に進みたかった貴樹は、がむしゃらに仕事をこなし働き続けました。心を失いかけた貴樹は会社を退社します。
一方、結婚が決まった花苗は両親に会いに行った帰りの電車の中で貴樹を思い出します。貴樹のまた花苗のことを想います。降り積もる深雪、二人の足跡、栃木で再会したあの日の記憶が蘇ります。
桜の花が舞い散る中、小学生の頃に通っていてあの踏み切りで2人はすれ違います。電車が通り過ぎるまでその場で立ち止まる貴樹。しかし、電車が通り過ぎるとそこに花苗の姿はありませんでした。そして、貴樹は柔らかな表情を見せ前へ進んでいきます――。
『秒速5センチメートル』感想
「秒速5センチメートル」作中画像(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
新海誠監督らしい美しい背景美術が満載な本作。小学校の頃から好きだった幼馴染を忘れられず、大人になっても前へ進めない主人公の甘酸っぱい青春物語が描かれていました。片思いのまま成長した貴樹と、前へ進み新しい人生を歩んだ花苗とのすれ違いが、誰もが経験したことのあるようなリアルな物語として描かれています。
『秒速5センチメートル』の聖地は?
■小田急小田原線参宮橋駅近くの参宮橋公園
桜の樹の下 4枚目の写真・画像
小学校の頃の貴樹と明里の通学路。2人の回想シーンで何度も登場する思い出の場所です。
■参宮橋駅から首都高速4号新宿線の下にある道路沿い
『桜並木の満開の下に』 -(C) 2012『桜並木の満開の下に』製作委員会
第1話で明里が栃木に転校すると公衆電話から泣きそうな声で貴樹に謝るシーン。今でもこの電話ボックスは残っているようです。
■参宮橋駅と代々木八幡駅の中間にある踏切
出世の石段がある愛宕神社
第3話のラストで2人がすれ違う踏切。劇中で2人の間を走った電車も小田原線です。
『秒速5センチメートル』監督・新海誠
『天気の子』トロント国際映画祭(C)2019「天気の子」製作委員会
『秒速5センチメートル』を手掛けたのは日本のアニメーション監督・新海誠(47歳)。
2002年に初の劇場公開となる『ほしのこえ』を発表。本作は単館上映作品でしたが、DVDは6万本以上の売り上げを記録しました。
2007年の劇場公開3作目となる『秒速5センチメートル』は、アジア太平洋映画祭、最優秀アニメーション映画賞、ランチア・プラチナグランプリなど多数の映画賞を受賞。