戦後イタリアの光と影をあぶりだす!『甘き人生』ってどんな映画?
『甘き人生』(C)2016 ALL RIGHTS RESERVED IBC MOVIE SRL, KAVAC FILM SRL, AD VITAM
昨年のカンヌ国際映画祭「監督週間」のオープニングを飾り、先日の「イタリア映画祭」でも上映された巨匠マルコ・ベロッキオ監督最新作、イタリア人ジャーナリストのマッシモ・グラメッリーニによるベストセラー自伝小説を原作にした『甘き人生』。希望に満ち溢れていた高度経済成長期の60年代と先行き不透明な90年代、古都トリノと首都ローマを彷徨う男を通して、戦後のイタリアの光と影をあぶり出す1作です。
『甘き人生』のあらすじ
1969年のイタリア北部・トリノ。9歳のマッシモの前から、ある日突然、母親がいなくなりました。司祭から母親は天国にいると告げられるも、その不可解な事件を受け入れられず、喪失感に苛まれる彼。時がたち、90年代のローマ。マッシモは腕利きのジャーナリストとして成功を収めてきたが、いまもなお過去の傷を癒せず、心を閉ざし、夢の中を生きているかような生活を送っていました。しかし、女医エリーザとの出会いによって長い夢から覚め…。
『甘き人生』の見どころを紹介!
本作の見どころのいとつは、古き良きイタリアの象徴として描かれる古都トリノと現代の首都ローマのヴィジュアルです。そして、それらを背景とした主人公マッシモの幼少期のキラキラした思い出と、母親を突然失うという喪失。それから30年近く過ぎてもなお、過去のトラウマと向き合う姿や、精神科医エリーザとの運命の出会いも…。戦後イタリアの光と影を背景に、2つの都市と2つの時間が交錯する中、ある愛の物語として綴られていきます。(画像はイタリア映画『花咲く恋』です)
監督は現代の巨匠マルコ・ベロッキオ!
フェリーニやヴィスコンティといった往年の巨匠が持つ品格を継承しながら、“イタリアのいま”を見つめ続ける、『眠れる美女』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』などで知られる現代の巨匠マルコ・ベロッキオ。彼が探究してきたテーマ、家族、母親、父親、そしてイタリア、その全てが本作に込められています。(画像は同じくイタリア映画『いつだってやめられる―マスタークラス』のものです)
マルコ・ベロッキオの過去監督作品『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』のあらすじ紹介!
© 2009Rai Cinema-Offside-Celluloid Dreamas
イタリアに独裁政権を築き、歴史に名を残したベニート・ムッソリーニ。若きムッソリーニと恋に落ちたイーダは、彼の理想を実現させるため、全財産を投げ打って彼を支えようとします。やがてイーダは彼の息子を産みますが、ムッソリーニは既に家庭を持っていたことを認識。自分が彼の妻であり、息子がムッソーニの長男であることを認めさせようとするイーダでしたが、ムッソーニの支持率が急上昇するなか、危険人物として排除され…。
主演はイタリアを代表する俳優、ヴァレリオ・マスタンドレア!
© Medusa Film 2015
主演のヴァレリオ・マスタンドレア(画像1番右に写っている笑顔の無い男性)はイタリア映画界を代表する人気俳優。
© Bibi Film © Rai Cinema
『ローマに消えた男』『おとなの事情』などに重要な役で出演しています。
ヒロインには実力派女優ベレニス・ベジョ!
© La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm
主人公が出会う女医役として、米アカデミー賞にノミネートされた『アーティスト』やカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した『ある過去の行方』などの実力派ベレニス・ベジョが出演。
© Memento Films Production - France 3 Cinema - Bim Distribuzione - Alvy Distribution - CN3 Productions 2013
さらには、アルノー・デプレシャン監督作品などで知られるフランス人女優エマニュエル・ドゥヴォスらが脇を固めます。
『甘き人生』は7月15日より公開予定!
『甘き人生』ポスタービジュアル(C)2016 ALL RIGHTS RESERVED IBC MOVIE SRL, KAVAC FILM SRL, AD VITAM
ジャーナリストとして成功を収めるも、過去の傷を癒せずに生きる主人公マッシモと、マッシモの苦悩の根源をほかの誰よりも理解し、愛を与えるエリーザを軸とした物語『甘き人生』は2017年7月15日より全国公開予定です!