『武曲 MUKOKU』あらすじと母への想い
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
海と緑の街、鎌倉。矢田部研吾は、幼いころから剣道の達人だった父に鍛えられ、その世界で一目置かれる存在となった。ところが、父にまつわるある事件から、研吾は生きる気力を失い、どん底の日々を送っている。そんな中、研吾のもう1人の師匠である光邑師範が彼を立ち直らせようと、ラップのリリック作りに夢中な少年、羽田融を送り込む。彼こそが、本人も知らない恐るべき剣の才能の持ち主だった――。
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
本作の見所の一つとして、綾野さんが剣の猛特訓を受け、見事に鍛え上げた肉体を披露するシーンがある。思わず見とれてしまう程美しい肉体に仕上がっている。剣を棄てた男・研吾(綾野さん)は、1人で住むには余りに広い日本家屋に1人暮らし。行きつけにする小料理屋の女将・三津子(風吹ジュン)が、日々酔いつぶれてばかりの研吾をたしなめながらも、優しく受け止めている。こんな女将が近くにいればいいのに…と思わず思ってしまう程包容力のある女将です。
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
研吾は思春期に母を亡くし、そのことが、彼と剣の師匠でもある父・将造(小林薫)との間に確執を生むきっかけとなった。将造の古い知り合いである三津子は、父子の複雑な関係をよく知り、どんなときも研吾に温かい視線を送る“もう1人” の母親のような存在だ。関係性を知った上で温かく接してくれる人は心の救いになりますね。
一方、研吾に向かっていくことになる高校生・融(村上さん)には父がおらず、母の希美(片岡礼子)とアパート暮らし。質素な暮らしながら、そのやりとりからは2人の仲の良さが伺え、融がこの母のもとで素直に育ってきたことが分かる。子供は親の育て方によって大人になった時の人格が変わってくるので、幼少期の経験を踏まえた上でどんな演技をするかは見どころの一つ。
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
劇中では、研吾が幼いころから、日本刀を突きつけるような容赦ない将造に育てられてきた成長の過程も描かれているが、父への恐れが次第に憎悪へと変わっていく研吾に対し、生前の母・静子(神野三鈴)は何も言えず、息子をただ案じることしかできなかった。
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
そんな研吾と融の境遇、そして母への思いはあまりにも対照的。やがては1対1の激しい闘いに臨むことになる男たちを巡る、“母”にも注目してみてほしい。
撮影秘話
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
村上さんが撮影秘話を話してくれた。撮影中、綾野さんと激しい剣道を行った村上さんは生傷がたえなかった。「突き指をしたときに、剛さんが誰よりも早く『はい、アイシング!』って持ってきてくれて。こんな頼りになる人いるんだ、しかも俳優さんだって」と感動したようだ。同じ現場で演技をする俳優同士、やはり信頼関係が大切になってくる。綾野さんのこういった人柄が作品全体を良くしているといえるでしょう。
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
以前監督と一緒にお仕事をした事がある綾野さんは「また必ずやりたいと思っていて、自分の鮮度を高めて突入しようと思いました。2か月前に剣道の練習はもちろん、肉体的なトレーニングをして、フィジカル面を強くしました」と語っています。劇中で見せる肉体美はその意気込みから来るものそのもの。プロ意識を感じます。
『武曲 MUKOKU』の見どころは?
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
“剣を棄てた男”研吾と“剣に出会った少年”融が豪雨の中、泥にまみれながら剣を介して魂をぶつけ合う10分にも及ぶ死闘!が本作の見所です。雨に打たれながら戦う姿は見とれてしまいそうですね。
男達の熱い演技に前田敦子もメロメロ!?
前田敦子/『武曲 MUKOKU』完成披露試写会
前田さんは「男の人って格好いい、女の人には入っていけないものがあるな、と。現場でも私、入る隙間がないなと思っていました」と語った。確かに男同士の独特な関係性というのは存在します。女性にはない魅力。それを前田さんは感じたのだと思います。女性には女性の、男性には男性の世界というものがありますよね。
綾野剛と村上虹郎の魂がこもった作品『武曲 MUKOKU』は必見!
『武曲 MUKOKU』 (C)2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
ライバルのような存在はいるかと尋ねられた綾野さんは「『武曲 MUKOKU』では矢田部研吾という役ですけど、いま、別の作品(「フランケンシュタインの恋」)で(深志)研さんをやっていて、同じ“研”なんです。研さん対決だと思っています」と答えた。村上さんは「両親ですね。もちろん業界にいることもあるんですけど、そうじゃなくても永遠のライバルかなって思います」と答えた。同じ質問をしても大きく答えが違うものですね。違う個性を持った役者さん同士のぶつかり合いは見ものです。
思わず見とれてしまうようなシーンがたくさんある『武曲 MUKOKU』。綾野剛と村上虹郎の魂がこもった演技を是非劇場で見てみてください!