『ダム・キーパー』とは
『ダム・キーパー』はピクサーのアートディレクター堤大介が有志を募って製作した短編映画です。
ダム・キーパーは嫌われ者
大気汚染に侵された世界において、たった一つ汚染されていない街がありました。
その街では8時間に一度風車を回し、汚染され黒く淀んだ空気を排出していたため、街は綺麗に平和も保てていました。
街や人を守るダム・キーパーという重要な仕事をしていたのは豚の少年。しかし、街の人々はそんなダム・キーパーのことなど忘れてしまっていおり、さらに豚の少年を嫌ってまでいました。
豚の少年は学校の同級生にさえ虐められ笑われる始末。彼はいつも孤独だったのです。
『ダム・キーパーのなかまたち(仮)』(C)2016 Tonko House Inc. ALL RIGHTS RESERVED
キツネとの出会い
『ダム・キーパーのなかまたち(仮)』(C)2016 Tonko House Inc. ALL RIGHTS RESERVED
ある日、学校に絵を描くのが得意な転校生のキツネがやってきました。
明るい性格のキツネはすぐに同級生と仲良くなっていき、さらには豚の少年とも仲良くしてくれます。豚の少年は孤独から抜け出せたような救われた気持ちになれました。
キツネと仲良く過ごしていた豚の少年はとても幸せな気分でした。しかしその幸せは突然崩れ去ってしまいます。
ある時、豚の少年は同級生と絵を描いていたキツネを見かけ、自分も混ざろうと輪の中に入ろうとします。そこで彼が見たものは、自分のことを指すように「dirty」と描かれていたキツネの描いた絵。
豚の少年はあまりのショックに泣き出し、その場を離れます。泣き止まないまま時は過ぎ、淀んだ空気を綺麗にするダム・キーパーの仕事をする時間が訪れます。
あまりの出来事に気力が失せていた彼は働こうとしません。
のちに、実はあの絵は豚の少年を貶していたのではなく、「自分も仲間だ」というメッセージが描かれていたことを知ることとなります。
『ダム・キーパーのなかまたち(仮)』(C)2016 Tonko House Inc. ALL RIGHTS RESERVED
いじめと環境汚染
絵のタッチや動物が出てくるほのぼのした映画かと思いきや、環境汚染や虐めなど少しダークで現実を帯びたストーリーが展開される作品。
雰囲気にそぐわない現実問題を組み込むことによって、視聴者にその問題を強く印象付けることができます。
長編製作決定
第87回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた『ダム・キーパー』。なんと長編の製作が進行中だそうです。
脚本家にジョン・ヘンリー・ヒンケルを招き、製作総指揮はケーン・リーが担当。物語はダム・キーパーから数年後の世界でセリフ付きだそう。公開が楽しみですね。