イギリスの大女優ヘレン・ミレンの経歴は?
『テンペスト』ヘレン・ミレン -(C) Startraks/AFLO
1945年、イギリスに生まれたヘレン。父親はロシア貴族でしたが革命により国を追われました。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで舞台女優としてキャリアを積み重ね、イギリスのテレビシリーズ「第一容疑者」のジェーン・テニスン役で、女優としての地位を不動のものとしました。
「第一容疑者」男社会をタフに渡り歩く女性警部
ヘレン・ミレン
1991年から始まったイギリスのテレビシリーズ。主人公のジェーン・テニスンは、ヘレンの当たり役と呼ばれ、エミー賞にも3度輝いています。
男性中心の警察組織で、差別や嫌がらせと闘いながら、犯人逮捕に執念を燃やすジェーン・テニスン。2006年まで放送され、全部で9本のシリーズが放送されました。
『クィーン』実在の英国君主エリザベス女王
『クィーン』-(C) 2006 GRANADA SCREEN(2005)LTD/PATHE RENN PRODUCTION SAS/BIM DISTRIBUZIONE
エリザベス女王を演じた本作で、第79回アカデミー賞主演女優賞を獲得しています。
物語は国民に絶大な人気を誇ったダイアナ元妃が亡くなったところから始まります。ダイアナの死によって混乱した国民に対し、毅然とした態度の女王を演じきりました。
『RED/レッド』『REDリターンズ』元凄腕の女殺し屋
『REDリターンズ』-(C) 2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
ブルース・ウィリス、アンソニー・ホプキンスら豪華俳優陣の共演で話題を呼んだ「RED/レッド」「REDリターンズ」では、元MI6の殺し屋ヴィクトリアを演じ、華麗なアクションを披露しました。
『ヒッチコック』映画監督ヒッチコックを献身的に支える妻
『ヒッチコック』ロンドン・プレミア(左からヘレン・ミレン&アンソニー・ホプキンス)
サスペンス映画の巨匠ヒッチコックが手がけた『サイコ』撮影の舞台裏を映画化した作品。ヘレンが演じるのは、自身も脚本家でありヒッチコック映画を陰で支え続けた妻のアルマです。
『黄金のアデーレ 名画の帰還』思い出の名画を取り返すために戦うユダヤ人女性
『黄金のアデーレ 名画の帰還』(c)THE WEINSTEIN COMPANY/BRITISH BROADCASTING CORPORATION/ORIGIN PICTURES(WOMAN IN GOLD)LIMITED 2015
本作でヘレンが演じたのは実在したアメリカ人女性マリア。グスタフ・クリムトが描いた彼女の伯母アデーレの肖像画、通称「黄金のアデーレ」は、かつてナチスに奪われ、数奇な運命を辿り、ウィーンのベルベデーレ美術館に展示されていました。オーストリアの“モナリザ”として国民から愛されている名画を取り戻そうとするマリア。辛い過去を持ったユダヤ人女性の静かなる闘志を、ヘレンは見事に演じています。
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』正義感あふれる情報部将校
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』 (C)eOne Films (EITS) Limited
2016年に惜しくもこの世を去ったアラン・リックマンと共演した本作で、ヘレンが演じるのは英国軍の諜報機関のキャサリン・パウエル大佐です。
大規模な自爆テロの計画に気がついたパウエル大佐は、正義のために民間人を犠牲にして、テロリスト殺害を優先しようとします。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ハリウッドが恐れたゴシップコラムニスト
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(C)2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
『ローマの休日』『スパルタカス』『ジョニーは戦場へ行った』などで知られる稀代の脚本家ダルトン・トランボの、信念と愛の半生を描いた本作で、ヘレンが演じるのは“赤狩りの急先鋒”と呼ばれたコラムニストの、ヘッダ・ホッパーです。
世論に大きな影響力を持つヘッダは、共産主義を敵とみなし、共産主義に関わったと噂される映画人を次から次へと自身のコラムで暴露、映画界から追放していきました。
『素晴らしきかな、人生』主人公の人生に影響を与える舞台女優
『素晴らしきかな、人生』(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC
最愛の人を失い、深い喪失感に見舞われていた主人公(ウィル・スミス)の前に表れた舞台俳優の一人ブリジット。それが本作でのヘレンの役どころです。どん底にある主人公に、愛、時間、死について語り、心を癒やしていきます。
まとめ
ヘレン・ミレン/第28回東京国際映画祭レッドカーペットイベント
今年で72歳となるヘレン。イギリスのミラー紙で“最も影響力のある女性NO.1”に選ばれたこともあり、輝き続ける秘けつは?との問いにこのように答えています。「まず、とても楽観的な性格であること。つらく悲しい出来事もたくさんあるけど、それでも地球は美しい場所だし、生まれてきたことに感謝している。それにできる限り、長生きをして、テクノロジーがどれだけ進歩するか見届けたいの。好奇心の強さも、若々しくいられる秘訣かもしれないわね」。
2003年には大英帝国勲章も授与され、イギリスを代表する大女優として、今後もその活躍が期待されます。